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Jリーグ 6年前

札幌FW都倉賢、北の大地で描く成長曲線。ミシャとの出会いで起きたパラダイムシフト

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「35歳、36歳までは問題なく成長できる」

 都倉よりも約半年遅れてMF小野伸二、翌2015シーズンにはMF稲本潤一と、1979年生まれのいわゆる「黄金世代」と呼ばれる日本代表経験者が加入してきた。今季も一緒にプレーするレジェンドたちの一挙手一投足からも、毎日のように刺激を受けてきた。

「シンジさん(小野)からは常にサッカーを楽しむ姿勢を、イナさん(稲本)からは日々の準備力といいますか、平凡な毎日が繰り返されるなかで同じプロセスに対して絶対に手を抜かない姿勢を学んでいます。2人の日々の振る舞いというか、存在自体が僕たちの刺激になっています」

 2015シーズンの開幕を前にして、J1に初めて臨む松本山雅FCからオファーを受けた。一時は8対2の割合で傾いたという移籍を、最終的にはJ2を戦うコンサドーレへの残留に転じさせた理由のひとつに、札幌の地で緩やかに描かれ始めていた成長曲線があったはずだ。都倉はいまではこう語る。

「僕自身、ここ2年くらい前から急激に伸びている感じがします。肉体的に衰えるというよりも、これからさらに上がっていくというか。トレーニング方法や食事といった部分に気を使うことによって、若いころよりもさらにアグレッシブに戦えているし、相手に脅威も与えられているのかなと」

 ロシアワールドカップが開幕した直後の6月16日には、32回目の誕生日を迎える。年齢的にはベテランと呼ばれる域に入りつつある都倉は、まさにいまが遅咲きの花を咲かせつつあるとばかりに「僕の肌感覚では35歳、36歳までは問題なく成長できる」と未来を見据える。

「コンサドーレの主力としてずっと戦ってきたことで、1年間を通してパフォーマンスを発揮しなければいけない部分や結果を出し続ける重要性、あるいは責任感といったものを、J2でしたけれども培うことができた。それらをもって昨年のJ1を戦えたことは、僕にとって大きな手応えでした。

 さらに今年はミシャが来て、チームとしても個人としてもステップアップできている実感がある。自分の成長とチームの成長がリンクしているというのは、ある意味で他のチームでは味わうことができなかった有意義な経験なので、すごく充実した日々を送れていると思っています」

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