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クラシコは選手を虜にする。両者の「引き出し」の多さ、日本にはないバルサの1点目【宮澤ミシェルの独り言】

日本代表選出経験も持つ元Jリーガーで、現役引退後は解説者として活躍中の宮澤ミシェル氏の連載企画。第5回は、クラシコについて。2-2のドローに終わったバルセロナとレアル・マドリーの一戦から、選手たちのクオリティや精神状態を読み解く。(語り手:宮澤ミシェル)

シリーズ:宮澤ミシェルの独り言 text by 青木務 photo by Junichi Ebisawa , Getty Images

メッシ、ロナウドを活かすために仲間たちがやっていること

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宮澤ミシェル氏がクラシコについて語る【写真:海老沢純一】

 痺れる試合だったね。バルセロナとレアル・マドリーのクラシコのことだ。この一戦を観ていて改めて思ったのは、両チームとも引き出しが多いということ。

 すでにバルサがリーグ優勝を決めていた中で行われたけど、そういうのは全く関係ないね。バルサにとっては無敗のままシーズンを終えるという目標があって、今回のマドリー戦はそのための“第一関門”だった。

 レアルだって、チャンピオンズリーグ準決勝2ndレグのバイエルン戦から中4日で臨んでいる。お互いに意地の張り合いというかね。マドリーとしてはリーガの優勝はすでにない。モチベーションとしては、バルサに無敗優勝をさせないということ。

 あのレベルのサッカーはすごいねえ。バルサは4-4-2で、レアルは4-3-3だった。バルサは、本当は4-3-3でやりたいはずなんだ。でも、4-4-2で勝ち切れちゃう。右のコウチーニョはある程度しか守備ができないんだけど、やっぱりメッシに自由を与えるためのシステム。本当だったら、ブスケッツ、ラキティッチ、イニエスタで中盤を組みたいところをあえて4-4-2で。メッシに自由にプレーさせつつチームが苦しまないように、後ろでちゃんとブロックで守れるように、と。

 それでも、右サイドハーフに入ったコウチーニョにとってはキツイ。『守り』ということを考えたら、ディフェンスが足りない。そういうウィークポイントがあるんだけど、それ以上に攻撃力が抜群だから。そういう風にして戦えるチームはなかなかないよ。

 もちろん選手たちも守りを頑張っているんだけど、攻撃で相手を上回れる。とはいえ、昨日のレアルが相手だと、なかなかそうもいかない。クリスティアーノ・ロナウドが開いて、一番前のベンゼマがキレキレでしょう。モドリッチ、クロース、カゼミーロがサイドのディフェンスもしたりと負担を抱える。

 つまり両チームに共通しているのは、メッシ、ロナウドという絶対の存在を活かすために守りのリスクを負ってくれる選手たちがいるということ。それがラキティッチであったり、モドリッチであったり。半端じゃないよね。だから観ていて本当に楽しい。

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