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クラシコは選手を虜にする。両者の「引き出し」の多さ、日本にはないバルサの1点目【宮澤ミシェルの独り言】

シリーズ:宮澤ミシェルの独り言 text by 青木務 photo by Junichi Ebisawa , Getty Images

バルサの1点目は今の日本ではなかなか見られない形

 どれだけ彼らが走っているか。そういうところにもっと注目してもらいたい。普通は3人でピッチの横幅は守れない。ところが両チームとも3人で守るんだよね。等間隔を保って、中をしっかり締めて、スライドして。サイドの攻防ではうまくサイドバックと連係しながら。

 例えばバルサの守備の時、サイドをマルセロが上がってきたとする。ラキティッチは行かずにセルジ・ロベルトや、彼が退場した後はセメドが行くんだよ。なるべく中盤の3人は距離感を保つんだ。スライドはするんだけど、大外までは行かない。

 レアルのサイドバックに対してバルサのサイドバックが行くということは、その裏が空く。その時は中盤が落ちるんだ。つまり、ラキティッチは大外には行かずにサイドバックが出て行ったことで空いたスペースを埋める。5m走らないで済むんだったらその方がいいという考え方だよね。でも、守らなきゃいけない時は何でもやる。本当に引き出しが多いよ。

 バルサの1点目は、今の日本になかなかない形から生まれた。セルジ・ロベルトのパスを、コウチーニョは中に入りながら受けたでしょう。この動きなんだよね。セルジ・ロベルトも相手DFのちょっと遠いところにパスを出した。それでスアレスを経由して、セルジロベルトが長い距離を走ってクロスを上げた。

 日本にはこれがないんだ。教え方の中にないんだよ。日本だとこの三角形がもっと小さい。距離感を整えるというのをやるんだけど、たまにこういうダイナミックさがあってもいいよね。

 クロスに対してメッシがニアに走って、スアレスがプルアウェイしてファーサイドで合わせる。メッシは思い切りダッシュしていたし、その裏にスアレスが来ていた。あのスピード感はすごかった。セルジ・ロベルトのクロスも良かった。

 前半終了間際にセルジ・ロベルトがマルセロに手を出して退場になったけど、先にぶつかられているんだよね。パスを出した後に前に出ようと思ったらマルセロに当たられて。それでちょっと腕を上げたらマルセロは「うわー」って倒れる。あれは演技だよ(笑)。

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