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代表 6年前

バス運転手からW杯戦士へ。コロンビアの遅咲きFW、バッカ。日本DF陣を陥れる武器とは?【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 神尾光臣 photo by Getty Images

武器はエリア内でのキレ

 ただこれは、決してバッカの衰えが原因というものではなかった。モンテッラ監督は後方でゲームを組み立て、サイドや前線に早くボールを集めて攻守を切り替えるサッカーを志向した。

 だがCFには前線でボールを収めることを第一に求めたこの戦術は、ゴールに背を向けたポストプレーを得意としていないバッカとは相性が悪かった。ビルドアップがショートパス主体となり、FWには裏抜けが許容されるビジャレアルで復調したことは、プレースタイルが合致すれば彼自身が健在であることを示している。

 まさに、コロンビア代表がそうだ。前線のスペースを狙って裏へ走れば、ハメス・ロドリゲスを筆頭とした優秀なMF陣からパスが足元に付けられる。そこからクイックなボールコントロールでマーカーをかわし、瞬時にシュートを放つ。戦術には合致しており、ホセ・ペケルマン監督の信頼も厚かった。

 もっともワールドカップ予選中は少なからず決定機を外したシーンもあり、コロンビアの国内ではバッカに対し批判も起こっていた。「もう2度と呼ぶな!あとどれだけシュートを外せば、ペケルマンは外す決断をするんだ?」「強力なFWと言われているのに、代表となると役に立たない。他のどんなFWも彼よりはましな仕事をするはず」と、地元メディアは散々だ。

 しかしバッカは「調子が悪い時も、監督は信頼をしてくれていた。だから自分が調子さえ保っていれば、監督は引き続き信頼してくれるはず」と語る。

 ラダメル・ファルカオにミゲル・ボルハ、ルイス・ムリエルにドゥバン・サパタとライバルは多いが、「代表にとって良いこと」と意に介さない。個性豊かなFW陣の中で、バッカはエリア内の技術とキレで勝負する。彼にゴール前の一瞬を奪われない守備を、日本のDF陣は果たしてできるのか。

(文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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