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日本代表 6年前

14年ブラジル大会。固執した「自分たちのサッカー」。反面教師にすべきザックジャパンの失敗【日本代表W杯の記憶】

シリーズ:日本代表W杯の記憶 text by 元川悦子 photo by Getty Images

大会直前の3連勝で膨らんだ過信

 例えば、ドイツはレシフェやナタルに近いサルバドールのあるバイア州にベースキャンプを置き、暑熱対策もしっかりと行って4度目の王者に輝いている。日本もこのエリアを選んでおけばまだ結果は違っていたかもしれない。

「キャンプ地は抽選前に選定する必要があった」と原技術委員長は弁明に終始していたが、このミスは致命的なものだった。今回のカザンはサランスク、エカテリンブルク、ボルゴグラードの3都市を結んだ中にあるため、場所的には悪くなさそうだ。ただ「移動を考えるとモスクワ近郊の方がよかったのではないか」という意見もある。そのキャンプ地選定がどんな結果をもたらすか、大いに気になるところだ。

 3つ目のミスは、キプロス、コスタリカ、ザンビアという事前テストマッチの相手選びだ。コスタリカはブラジル大会で8強入りした実力国だが、堅守速攻型を徹底的に突き詰めていて「仮想・コロンビア」にはなり得なかった。

 キプロスもギリシャに近いとは言ってもタイプは全く違うし、ザンビアとコートジボワールではレベル差があまりにも大きかった。そういう状況だったため、3連勝できるのもある意味では想定内だったと言っていい。

 そうやって勝ち続けることで、チーム内に過信が生まれた部分も大いにあるだろう。同じように事前テストマッチのドイツ戦を2-2で引き分けるなど、大会前に好調を維持した2006年ドイツワールドカップの生き証人だった遠藤保仁(G大阪)は「ドイツの時に似ている。警戒しなきゃいけない」と警鐘を鳴らしていたが、それがどこまで若い世代に響いたか分からない。

 大会前の3連勝が「自分たちのサッカーを貫けば大丈夫」という雰囲気につながったのも確かだ。

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