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代表 6年前

バルサもスペイン代表も“蹴った”男、ケイタ・バルデ。セネガルが誇るコンプリートな攻撃手【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 小川由紀子 photo by Getty Images

道を切り開いた強烈な個性と意志の強さ

 バルデいわく、「一番熱心に誘ってくれたのがモナコ」だったという。実際モナコは、その前の年から彼にラブコールを送っていた。そして今季、キリアン・エムバペをPSGに手放したモナコにとってバルデの入団は絶好のタイミングだった。全コンペティションあわせて33試合に出場し、入団初年度にして8ゴール11アシストを記録した。

 そのモナコも彼にとってはさらに高みを目指す上での通過点にすぎないのだろうが、必然か偶然か、ここまで辿ってきた道を振り返ると、そこには彼を今のようなコンプリートな攻撃手に育てあげた背景があった。

 9歳から16歳まで過ごしたスペイン、とりわけバルセロナでのカンテラ時代には、テクニック、ボール使い、ポゼッションを徹底的に仕込まれた。そしてその後渡ったイタリアは筋トレ重視でフィジカルを鍛えあげる場所だった。その頃16、7歳だった彼にとっては、まさに体躯作りに最適なタイミングだった。

 さらに戦術重視のリーグだけあって、戦術もみっちりと叩き込まれた。そして現在所属するフランスリーグでは、これまでとは違った、スピードとパワーが重視のゲームを実戦で体験している。自身の成長の過程に合わせて、バルデはまるでプログラムされたような理想的な道を歩んできているのだ。

 バルセロナでは4-3-3の左サイドのみしかプレーしていなかったというポジションも、ラツィオでは様々な位置を経験し、昨シーズンはセカンドストライカーとして結果を出した。今季モナコでは左ウィングが主戦場だが、ファルカオが不在の試合ではトップで起用されることもあった。

 自らもトップレベルのアタッカーになるには、複数のポジションでプレーできることが絶対条件だと信じているバルデは、進んで別ポジションでのプレーに取り組んでいる。

 そういったこれまでの経歴と並行してケイタ・バルデという選手を作り上げているのは、彼自身の強烈な個性と意志の強さだ。

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