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代表 6年前

バルサもスペイン代表も“蹴った”男、ケイタ・バルデ。セネガルが誇るコンプリートな攻撃手【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 小川由紀子 photo by Getty Images

一直線の成長も現在の課題は?

ケイタ・バルデ
ラツィオでは「18歳までにファーストチームデビューをする」という誓いを実現させた【写真:Getty Images】

 15歳のときの4部クラブへの島流しの件についても、彼は「自分の身に起きたすべてのことから学びがあるはず」と決して後ろ向きにはとらえていない。

 そして、名門バルセロナに戻らないという大胆な選択も、「リスクは恐れなかった。だってリスクのない人生なんて平凡すぎるから」と言ってのける。そういえばプレーでも、バルデはリスクを恐れない。むしろ、DFが待ち受ける危険地帯にあえて突っ込んでいく強気がある。

 たとえ監督に左に行け、と言われても、自分の体が右だと感じたら迷わず彼は右に行く。

「自分の直感に従った方がうまくいく。結果がうまくいくなら(監督の言うことを聞くより)その方が良いに決まっている」

 バルデは小さい頃から自分が何をしたいのかが明確にわかっている子供だったという。ラツィオでは、「絶対に18歳までにファーストチームでデビューする」と毎朝誓い、それに向かって努力をしていたら本当に実現した。

 そのラツィオを出たいと思ったときは、「違う道に行ってみたくなった。まったく知らないグラウンドとか、人、サッカーの見方を知りたくなった」と感じて未知のフランスリーグに飛び込んだ。

 それは心から湧き出た感情に従ったようにも聞こえるが、プレーを続ける上で、自分がこれから身に付けたいものを直感的に感じ取り、それが与えられる環境へ移動しているようにも思える。

 そんな一直線に成長を続ける彼の現在の課題を挙げるなら、メンタルコントロールか。

 15/16シーズンのヨーロッパリーグ、対ローゼンボリ戦では、競り合った相手の顔を突いて一発レッドカードで退場、なんと4試合もの出場停止処分をくらった。

 そして今季も、2位の座を競い合うリヨンとの重要な一戦で、すでに1枚イエローカードをもらっていたにもかかわらず無用なタックルで2枚目をもらって退場している。

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