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代表 6年前

なぜネイマールは封じられたのか。相次ぐ強国の苦戦に共通する傾向。守備の核はDFにあらず【ロシアW杯】

text by 編集部 photo by Getty Images

スイスの狙い。ボールロストを繰り返したネイマール

ヴァロン・べーラミ
中盤で躍動したスイス代表のヴァロン・べーラミ【写真:Getty Images】

 特に際立っていたのが、ベーラミのプレーだった。右の守備的MFとして先発したベーラミは、70分間の出場で両チーム最多となる6回のタックルを決めるなど守備に奔走してスイスの中盤を引き締めた。その結果、左ウイングのネイマールは8回ものボールロストを繰り返してその力を発揮できず無得点に終わっている。

 インターセプトの数でもスイスは右SBのリヒトシュタイナーが3回、右CBのシェア、ベーラミ、右ウイングのシャキリがそれぞれ2回を記録した一方で、左SBのリカルド・ロドリゲス、左CBのアカンジは0回だった。さらにボールクリアの回数ではシェアが5回でトップとなっていた。

 これは、明確な狙いを持ってネイマール、コウチーニョ、マルセロが揃うブラジルの左サイドを潰しにかかっていたということ。その中で、ベーラミが請け負った中盤の守備は重要な役割を果たしていた。

 中盤が高い守備力を発揮して相手に自由を与えなければ、DFラインの選手はカバーリングやケアに集中できる。守備のタスクが分散されていれば、選手それぞれの負担は大きく減り、安定した戦いができる。

 仮に、中盤の選手が攻撃ばかりを考えてしまうと、すべてのタスクをDFラインの選手が請け負わなくてはならなくなり、大きな負担となって守備の決壊を招く可能性が高くなる。

 これはブラジルも同様で、チッチ監督の就任以降、守備力を大きく向上させたのはアンカーの役割を担うカゼミーロの存在が大きい。所属するレアル・マドリーがチャンピオンズリーグ3連覇を果たした要因でもある。

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