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日本代表 6年前

初戦勝利で決勝T進出85%に隠された“トリック”。全く楽観視できない日本代表の現実【ロシアW杯】

日本代表は現地時間19日、ロシアワールドカップのグループリーグ第1節でコロンビア代表に劇的な勝利を収めた。そこで注目を浴びた、極めて楽観的なデータがある。ところがそれには隠された“トリック”があった。大会初戦に勝利して大いに盛り上がる日本も、その現実を直視しなければならない。(文:山下祐司)

text by 山下祐司 photo by Getty Images

実は楽観的ではなかった「85%」のからくり

日本代表
初戦勝利でGL突破の確率は「85%」と言われているが…【写真:Getty Images】

 ロシアワールドカップ初戦で2-1とコロンビアに勝利し、最高のスタートを切った日本代表。香川真司、大迫勇也と決めるべき選手が得点を決め、1人多いアドバーンテージを生かせた試合から、2大会ぶり決勝トーナメント進出への期待が高まっている。

 この歴史的な勝利に触発されたのか、テレビや新聞、Web上などで“おかしな数値”がひとり歩きしている。それが過去のワールドカップから導かれた、「初戦で勝利したチームのグループリーグ突破率85%」だ。日本代表のベスト16入りがすでに保証されたような楽観論だが、この数値には“トリック”が潜んでいる。

 この「85%」はワールドカップでの過去の試合結果から計算されている。もとになったのは1998年フランス大会から2014年ブラジル大会までの5大会分のグループリーグでの結果だ。今大会と同じく32チームが4チームずつAからHの8グループに分かれてリーグ戦を争い、それぞれの上位2チームがノックアウト方式のトーナメントに進む方式が採用されていた。

 過去5大会に参加した32チームそれぞれの初戦を計算すると80試合(16試合×5大会)になる。この初戦に勝利したチーム数を調べると60チームにのぼる。「85%」は、この60チームからトーナメントに進出したのが51チームだったために導かれた数値(51/60)だ。つまり数値自体は間違いではない。

 ただし補助線を引くと印象はがらりと変わる。初戦で勝利すればどのチームも決勝トーナメント進出に限りなく近づいたように見える85%の“トリック”が明らかになるのだ。

 まず、大会の初戦で勝利した60チームを、直前のFIFAランキングを使い20位以内の強豪とその他に分ける。強豪には歴代の優勝国であるブラジル、ドイツ、スペイン、イタリア、フランス、アルゼンチンなどの他にもポルトガル、メキシコ、コロンビア、イングランドなどが含まれる。

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