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ベルギーに敗れて膨らむ、中島翔哉&久保裕也落選への疑問。真剣勝負で露呈した交代の幅の狭さ【ロシアW杯】

text by 編集部 photo by Getty Images

久保裕也 中島翔哉
西野ジャパンに久保裕也(左)と中島翔哉(右)がいればベルギー戦も…【写真:Getty Images】

【日本 2-3 ベルギー ロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦】

 日本代表は現地時間2日、ロシアワールドカップの決勝トーナメント1回戦でベルギー代表と対戦し2-3で敗れた。

 最終的にはベルギーの交代策が的中する結果となった。彼らのマルアン・フェライニとナセル・シャドリの投入には、「高さ」という明確なメッセージがあった。おそらくピッチ上の選手たちもロベルト・マルティネス監督の意図を即座に理解し、ゴールに向かう道筋をはっきりと描けていただろう。

 74分のフェライニの同点ゴールが象徴的だった。エデン・アザールがお膳立てし、日本のDFの頭上から叩くヘディングシュートを決めて見せた。そしてシャドリもサイドからゴールを狙って脅威であり続け、後半アディショナルタイムに有り余る総力を遺憾なく発揮して劇的な決勝点を奪った。

 ここである疑問が浮かんでくる。2-2で同点にされた後、西野朗監督は最初の交代カードを切った。だが、その場面で本田圭佑や山口蛍を投入するよりもふさわしい選択肢はあったのだろうか。あるいは大会前に捨ててしまってはいなかっただろうか、と。

 グループリーグでは攻撃的に振る舞いゴールを目指したい局面で、武藤嘉紀や宇佐美貴史というカードが切られていた。2人は先発を6人入れ替えて臨んだグループリーグ最終戦のポーランド戦で長いプレータイムを得たが、十分なインパクトを残すことができなかった。

 いずれもワールドカップのレベルでは大きな弱点を晒し、リスクになる可能性があった。宇佐美であれば守備への意識とスキルの低さ、武藤はストライカーとしてのエゴがもたらす無謀さと判断ミスの多さが、勝ちにこだわらなければならない局面では取り返しのつかない状況を招きかねなかった。

 日本はベルギーにかなり走らされ、延長戦でさらに勝負をかけるのは難しくなっていた。ただ、90分で勝負を決めたいとなっても、リスクの大きさと見返りを天秤にかけたが故に西野監督はベルギー戦で彼らをピッチに送り込むことをしなかったと思われる。

 では、他に追加点の可能性を高められる選択肢はなかったのだろうか。そこで浮かんでくるのが、ワールドカップ直前で招集メンバーから漏れた、中島翔哉や久保裕也の存在である。

 仮にこの2人がロシアの地で戦う23人のメンバーに入っていれば、中島が左サイドの乾の控えを、久保が右サイドの原口の控えを担うことになっただろう。そして本田はトップ下の香川真司をベンチから支える。

 乾も宇佐美も中島も左サイドからカットインしてからの右足シュートでゴールを狙う形が十八番である。ただ、宇佐美は守備面でのリスクがある。中島は密集に自ら突っ込んでいきがちな傾向こそあったものの、宇佐美以上の爆発力と攻守両面にわたる献身性があった。

 一方、久保は右利きのため、右サイドから直線的にゴールへ向かっていける強みがあった。ベルギー戦の後半途中から右サイドに入った本田はスピードに欠けるため、攻撃をノッキングさせがちになるが、久保の場合は周りと近い距離で絡みながらゴールに直結するプレーに徹することができたはずだ。そして守備に対する献身性やスキルも、原口ほどではないにしろ、必要最低限は備えている。

 また、宇佐美や武藤といった「前線ならどのポジションでもこなせるアタッカー」という実は“同じような”特徴を持つ選手を多く揃えたことで、逆に戦術的なバリエーションが不足し、メンバー構成が偏ってしまった感は否めない。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が率いていた頃、彼らが冷遇されていた理由は世界のレベルで戦える能力がないと判断されていたからで、起用すればチーム全体がリスクを抱えた状態になる傾向は当時からあった。

 その反面、幅広いポジションに対応しつつストライカー色の濃い久保や、役割は限定的ながら突出した打開力を秘める中島という、違うキャラクターの選手を複数混ぜておけば、戦い方の幅もより広がっていたかもしれない。彼らはハリルホジッチ監督が世界で戦う上で必要な人材と判断して目をかけてきた選手たちだった。

 今大会、4試合を戦ってフィールドプレーヤーで全く出場機会がなかったのは遠藤航、大島僚太、植田直通といずれもリオデジャネイロ五輪世代の選手たちだった。次世代を担う彼らがワールドカップのピッチを経験できなかった代償が今後高くつく可能性もある。

 そして同じくリオデジャネイロ五輪世代の中島や久保は、先に挙げた3人以上にワールドカップの舞台でインパクトを残せた可能性があっただけに、今更ながら最終メンバーからの落選が悔やまれる。

【了】

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