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日本代表 6年前

【岩政大樹×ベルギー戦後の未来】勝負を分けた「原則」の浸透度。みんなで「守備」の議論をしよう【ロシアW杯】

シリーズ:岩政大樹×〇〇 text by 編集部 photo by Getty Images

ロシア後は一歩先の議論をしよう

 デ・ブライネがボールを運んできたときの対応も、各選手が後手を踏みました。守備の原則からすれば、ペナルティエリアの近くにいくまで全体を下げながら時間をかけ、他の選手の帰りを待つ。間に合わなければ、そこから外に誘導して、シュートコースを限定していくというのが基本です。

日本の選手はコーナーキックで攻め上がっていた昌子選手も吉田選手も全力疾走で戻っていたので、もう少し時間をかける守り方があったのではないかと思います。しかし、コーナーキックで決勝点を期待した選手たちは、突然訪れたピンチに正確な状況把握ができず、慌てたことで判断を間違えてしまったように見えました。

 この試合の意味というのは全て、出ていた選手たち、見ている私たちがどう捉えるか、どのように分析・検証していくかで、これから変わっていくものです。様々な経験を積んできた日本の選手たちがいま持てる、考えうる、それぞれのベストをぶつけてくれたことで、これまで語られなかった新たな議論ができるのは間違いありません。

 今大会、日本の選手たちにはベルギーとの試合でも全くコンプレックスがないように見えました。そこは日本サッカーとして一つの殻を破ったと思います。本田選手や長友選手、香川選手などが世界のトップクラブに入っていき、そこから下の世代と上の世代とではマインドが全く違います。世界のトップと日常的にやるのが当たり前、当然の目標としてある中で育っています。

 選手たちのマインドセットができてきて、日本の歴史が少しずつ変わってきています。これからは、まず高いレベルの選手をたくさん輩出することです。あの状況でベルギーに対して個人で対抗できる選手がいて、よりボールを保持して攻めることができれば、相手に攻められる回数も減らすことができたでしょう。

 加えて、相手の変化に対する対応力も身につけなくてはなりません。ベルギーのように、負けていれば明確に狙いをもって逆襲をかけてきます。その中でパニックにならず、相手の変化を嗅ぎ分け、適切に対処しなくてはなりません。それもトップレベルでは早急な手当てが必要になります。能力があり、かつ、サッカーをよく理解した選手。そして考えを発信し、チームを動かせる選手の育成が不可欠です。

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