【岩政大樹×ベルギー戦後の未来】勝負を分けた「原則」の浸透度。みんなで「守備」の議論をしよう【ロシアW杯】

日本代表は現地時2日、ロシアワールドカップの決勝トーナメント1回戦でベルギー代表と対戦し2-3で敗れ、ベスト8進出を逃した。この試合ではどんな成果や課題が見つかったのか。ロシア後の未来に向けてどんな議論をしていくべきなのだろうか。2010年の南アフリカワールドカップにも出場し、現在東京ユナイテッドFCで選手兼コーチとして活躍する元日本代表DF岩政大樹に、現役ディフェンダー目線で話を伺った。(分析:岩政大樹、構成:編集部)

2018年07月06日(Fri)11時30分配信

シリーズ:岩政大樹×〇〇
text by 編集部 photo Getty Images
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日本を研究してきたベルギーの戦い方

長友佑都
長友佑都はメルテンスやムニエを相手に数的不利を作られても守備で奮闘した【写真:Getty Images】

 ベルギー戦は、いろいろな意味で現在の日本サッカーのすべてをぶつけて戦ってくれた試合だったと思います。

 守備の基本的な考え方は、これまでと変わりませんでした。ボールを奪われたら4-4-2のブロックを作り、相手が自陣に入ってくると、香川(真司)選手が中盤を助けに後ろに下がり、4-4-1-1のような形に変化していきます。

 それに対してベルギーは少し変則的に見えました。3バックを左に寄せ、右サイドバックのいない4バックのような形でビルドアップしようとしていました。本来なら乾(貴士)選手が前に出てマークしたいトビー・アルデルヴァイレルトが、内側に立つことでプレスをけん制してきたのです。

 大迫選手と香川選手に加えて、乾選手が前に出て守備をしてくることを想定してベルギーがデザインしてきたのかもしれません。乾選手をボールに食いつかせ、アウトサイドの空いている選手を使って長友(佑都)選手のところで数的優位を作るのが狙いだったのでしょうか。途中からは、ここにアクセル・ヴィツェルも加わって、日本のプレスを惑わそうとしてきました。

 実際に、右ウィングバックのトマ・ムニエと、2シャドーの右に入っていたドリース・メルテンスの2人を、長友選手1人でケアする状況が起こっていました。ベルギーの左サイドはエデン・アザールとヤニック・カラスコがそれぞれで崩していく傾向でしたが、右サイドは日本の4-4-2の守備陣形とベルギーの3-4-3の噛み合わせの悪さを突く狙いがあったと思います。

 システムが噛み合っていない中で、論理的できれいな崩し方を狙っていたベルギーは、0-2になると、焦りからか選手たちの簡単なパスミスが増えていきました。そこで、ロベルト・マルティネス監督は戦況を変えようと戦い方を少し変えてきました。

 守備時にはカラスコを少し残らせて、できるだけ4枚のディフェンスラインで対応させるようにしました。その上で、マルアン・フェライニを入れて、中盤の形を変えました。ボランチを1人にして、フェライニとケビン・デ・ブライネを中盤の高めに配置し、ロメル・ルカクとアザールを2トップ気味にした3-1-4-2のような立ち位置にシフトし、左サイドにはカラスコに変えてナセル・シャドリを入れて攻撃の狙いを絞らせました。

 アザールとデ・ブライネ、新しく入ったシャドリが左サイドに固まるような形になって、ここを3人で流動的に崩しにいく。そこから深い位置に入ってファーサイドにクロスを上げる。そしてファーサイドに回ったルカクと、中盤の右寄りにいるフェライニがペナルティエリアに入っていくイメージだったでしょう。

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