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代表 6年前

ベルギーは日本戦を“糧”に。ブラジル撃破の周到な計画と爆発した『個』。王国は必然の敗戦【ロシアW杯】

text by 青木務 photo by Getty Images

ブラジルにカゼミーロがいたらどうなっていたか

 最終的にブラジルは相手の2倍となる8本のCKを得ているが、最初のチャンスを決められず。残りの機会でもティボー・クルトワの牙城を崩せなかった。『あれしかない』という形だったからこそ、ネットを揺らしておかなければならなかった。

 その5分後、ベルギーが先制に成功する。同じように左CK、ニアにヴァンサン・コンパニが走りこむと、フェルナンジーニョに当たってオウンゴール。ベルギーが1点リードを得た。カゼミーロが累積警告のため出場できなかったこの試合、代わりにスタメンに名を連ねたのはフェルナンジーニョだった。ここまで全試合で途中出場しており実力に疑いの余地はない。オウンゴールは不運だったが、データサイト『whoscored』によればインターセプトは両チーム最多タイの5回と、90分通してやれることはやったと言える。カゼミーロであってもこの試合の結果を変えることはできなかったのではないか。

 ベルギーの選手たちはアンカーに捕まらないポジションに立って攻撃を展開していた。先制のCKに繋がる攻撃がそうだった。まず左のシャドリがフリックでルカクにつける。チアゴ・シウバに詰め寄られるもルカクはボールを失わない。そして、アザールがミランダを引き連れ、ルカクの後ろに流れる。ミランダと左SBのマルセロとの距離が空き、そこにフェライニが待つ。ルカクはパウリーニョにも寄せられるも、フリーのデ・ブルイネにパス。フェルナンジーニョの脇をデ・ブルイネが通し、フェライニがフィニッシュに持ち込んだ。

“アフロマン”のトゥーキックシュートはミートしておらず、CKからフェルナンジーニョがオウンゴールを献上したのもアクシデントと言える。だが、ベルギーが試合を動かすのは時間の問題だった。局面でフリーになるための動きとボールワークを繰り返すベルギーを止めるのは容易ではない。

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