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代表 6年前

ベルギーは日本戦を“糧”に。ブラジル撃破の周到な計画と爆発した『個』。王国は必然の敗戦【ロシアW杯】

text by 青木務 photo by Getty Images

ブラジルをも破壊した伝家の宝刀

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ブラジルは全てを出し尽くしての敗戦【写真:Getty Images】

 そして31分、ブラジルが後手を踏んでいる間にベルギーが追加点を奪う。相手CKをクリアすると、ルカク収めて前を向いてカウンターが発動。追いすがる相手を尻目にグイグイと運ぶと右へパスを出す。自陣ゴール際から走っていたデ・ブルイネが右足を振り抜き、弾丸のようなシュートを突き刺した。日本戦の3点目のような電光石火のそれではなかったが、それでもブラジルは全く対応できなかった。

 ベルギーのカウンターはその威力もさることながら、不発に終わらないから相手に脅威を与え続けることができる。62分、シャドリが相手のパスを奪うと、粘ってパス。デ・ブルイネは持ち込みながら左右を味方が走っているのを確認し、左のアザールを使う。10番の左足シュートは外れたが、フィニッシュに持ち込んだ。また、たとえシュートで終われなくても相手を裏返し、自陣に引き戻している。そして、無理に打たずに作り直して相手を焦れさせることもできていた。

 とはいえ、後半はブラジルのペース。頭からウィリアンを下げてロベルト・フィルミーノを投入し、58分にはガブリエル・ジェズスを諦めドウグラス・コスタを送り込んだ。ミランダがルカクの監視を強め、その恩恵を受けたマルセロが高い位置を取れでゲームに関わるようになる。そして76分、コウチーニョの浮き球に反応したレナト・アウグストが頭で決めて1点を返した。[4-3]で作られたベルギーのブロックを無力化するようなコウチーニョのアイディアとレナト・アウグストの抜け目ない動きだった。

 だが、もう1点が遠い。ネイマールが仕掛けて相手を出し抜こうとするも、ホイッスルは鳴らない。倒れるたびに何度もレフェリーにアピールしたが、「立て」のジェスチャーをもらうだけ。VARも助けてくれない。そのうちチーム全体にパスミスが見られるようになった。こじ開けてくるブラジルを目の当たりにしたことで、ベルギーにも隙はなくなっていった。

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