日本戦で露呈した弱点を消し、ルカクを右に
一人ひとりの高い技術に裏打ちされた、流れるような攻撃。局面を打開する個の突破力、相手の心をへし折る鋭いカウンター。相手を打ちのめすための術をいくつも持っているのが、サッカー王国たる所以だった。しかし、カザンアリーナでそれらを見せたのは赤い悪魔と呼ばれるチームだった。彼らは戦前からあった勢いに加え、この試合で本物の強さを肉付け。敗戦に呆然とした様子のカナリア軍団を力強く踏み越えていった。
ロシアワールドカップ準々決勝、ベルギー代表は2-1でブラジルに勝利。グループリーグ初戦以外は無失点で勝ち上がってきたブラジルに対し、ベルギーはここまで12得点を稼いできた。決勝トーナメント1回戦では日本に2点を先行されながら、選手交代で流れを得ると最後は高速カウンターで仕留めている。
ベルギーにとってこの日本戦は意味のあるゲームとなった。ウイングバックの裏、センターバックの脇を使われた反省を生かし、もしくはそこがウィークポイントだと改めて確信し、ブラジル戦では守備時に4バックになる形を採用している。日本に破られるのだからブラジルには粉々にされるに違いない、と。
また前線はロメル・ルカクが右サイドに張り、対峙するマルセロをけん制。この試合で復帰したブラジルの左サイドバックは、ネイマールとコウチーニョを最良の形で輝かせられる。マルセロが攻撃に絡むことによる不利益を最小限に抑えるためにも、ルカクをぶつけ、裏のスペースに注意を向けさせた。また、マルアン・フェライニを先発させ、ケビン・デ・ブルイネを前に置いた。システム上の泣き所を潰しつつ、前線の配置も変えることで速攻の威力も担保した。
それでも、最初の決定機はブラジルに訪れた。8分、左CK をネイマールが二アサイドに蹴りこむと、ミランダが頭ですらしてチアゴ・シウバが合わせる。しかし、うまくミートできずポストに阻まれてしまう。これをモノにできなかったことが、ブラジルにとって大きなダメージとなる。