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代表 6年前

フランス、理想的な強さの秘訣。根源にプラスαの存在、ベルギー戦勝利のカギはチャレンジャー精神【ロシアW杯】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images,Yukiko Ogawa,requipe

チームに影響を与えているある人物とは…

 彼らを最終メンバーに選んだデシャン監督もおそらく、この選考に満足していることだろう。

 それと関連してポジティブな要素に挙げられるのは、チームの雰囲気がすこぶる良いことだ。

 例えばマルセイユのDFアディル・ラミは、今大会まだ一度もピッチを踏んでいない。しかし彼の存在がチームに与えている影響は絶大だという。

 32歳と年齢的にも先輩格であり、性格も朗らかな彼は、常にロッカールームの空気をほぐし、選手たちをリラックスさせるのに一役買っているという。しかしもし出番が来れば、デシャン監督の期待にしっかり応えられるプレーもできる。マルセイユでも「やはりベテラン、こういうところで違いが出る」というプレーを何度も見せてくれた、ヨーロッパリーグ決勝進出の立役者だ。

 毎試合、ロッカールームには、スタメンや控え、ベンチ外などの区別なく、23人全員が入り混じって並んでいる。フランスだけがやっていることではないだろうが、23人全員で戦うんだ、ということを実感できる、大事なルーティーンだ。

 そして、ピッチの最終列から支えるキャプテン、GKロリスがミスなく、好セーブを連発していることも、選手たちに安心感を与えている。

 また、各選手が、己に求められた仕事を忠実にこなしていることも、勝因のひとつ。トレードマークの強烈ボレーが見られないからか、「今大会はいまひとつ」と言われているポグバも、グループリーグでの3得点にすべて絡み、アルゼンチン戦やウルグアイ戦でもゴールの起点と、ここまでの9得点のうち5点に絡む立派な活躍ぶりだ。

 FWジルーは得点こそないが、ウルグアイ戦でも、体を張って仲間へのチャンスメイクに奔走していた。エムバペにしても、毎回、アルゼンチン戦でのような派手なカウンターが成功するわけではないが、そういう試合では仲間のためにスペースを作る動きに専念している。

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