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代表 6年前

フランス、理想的な強さの秘訣。根源にプラスαの存在、ベルギー戦勝利のカギはチャレンジャー精神【ロシアW杯】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images,Yukiko Ogawa,requipe

超理想的なベンチメンバーを手に入れたフランス

フランス代表
理想的なメンバーを揃えたフランス代表【写真:Getty Images】

 両サイドバックについては、ジブリル・シディベとバンジャマン・メンディが負傷明けでコンディションが整わなかったため、当初は控えメンバーだったパヴァールとエルナンデスがここまで全戦で先発出場しているが、アルゼンチン戦ではパヴァールがさっそく代表初ゴール、しかも1-2と劣勢になった後でフランスが盛り返すきっかけになった価値ある同点打だった。そして彼に逆サイドからのクロスでアシストしたのはエルナンデスだ。

 エルナンデスは3点目でもゴールの起点になるパスをサイドから入れている。そしてパヴァールも、この試合に限らず効果的なサイドからのパスや、守備でも、ガッツのある粘り強い対人プレーを見せるなど、チームに勢いを与えている。

 左サイドバックに関しては、エルナンデスは少し圧が足りない、というか、相手から見て、『突かれ易いポイント』になっている場面もあると感じている。攻撃参加のときの威力などはやはりメンディが優るが、グループリーグ第3戦のデンマーク戦の後半戦でピッチを踏んだ以外、合宿地でも全体練習に参加できない日も続いている。コンディション不良の彼よりも、初戦からこの大会を通じて経験値を上げてきたエルナンデスにディディエ・デシャン監督は賭けていることだろう。

 エンゾンジとトリッソは、ほぼ確定と思われていたアドリアン・ラビオを落選させてメンバー入りした。気の利いたプレーが持ち味のトリッソが加わったことで、ビルドアップの流れは円滑になり、エンゾンジは、昨年11月にA代表デビューしたばかりとは思えない、どっしりとした安定感があるから、終盤に試合を落ち着かせたい時に送りこめる人材として、指揮官も信頼している。

 そしてフェキルは、グリーズマンの交代要員として確実に見込める存在。中距離弾も武器とし、試合後半に、もうひとつ流れをかき回したい時に良い仕事をしてくれる。

 彼ら新メンバーの加入で、レ・ブルーの印象自体が、より新鮮で、フレーバーも多彩になった。と同時に『先発イレブンに力量で劣ることなく、試合の流れに応じて違った要素をプラスできる交代要員』という、超理想的なベンチメンバーを手に入れた。

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