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Jリーグ 6年前

イニエスタの凄みを示す2つのプレー。跳ね上がった精度、『完璧』という次元の本当の高さ

 明治安田生命J1リーグ第17節・ヴィッセル神戸対湘南ベルマーレの一戦が22日に行われ、神戸に加入したアンドレス・イニエスタがJリーグデビューを果たした。合流直後ということもあり約36分間の出場にとどまったが、随所にらしさを見せている。(文:青木務)

text by 青木務 photo by Getty Images

短時間ながらアジャストしてみせた

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アンドレス・イニエスタがJリーグデビューを果たした【写真:Getty Images】

 投入から3分が経過しようとした61分、アンドレス・イニエスタは自陣でボールを受けると淀みないターンからボールを運び、右サイドを走る味方にパスをつけた。以降、背番号8は何度か攻撃のスイッチを入れている。

 68分はウェリントンに、80分には田中順也に、そして89分にも再びウェリントンの前のスペースにボールを送った。いずれも得点には繋がらなかったが、少しずつタイミングは合ってきており、短い時間の中でアジャストしていることを感じさせた。それはイニエスタだけでなく、彼のプレーを感じ取った味方の動き出しにも表れていた。89分のシーンは右に流れたイニエスタがパス交換からフリーでリターンをもらい、右足アウトでコントロールすると、ウェリントンが一気に駆け出した。出し手と受け手の呼吸がピタリと合致した瞬間だった。

 また、常にシンプルにプレーするから味方が動き出せばすぐにボールを離し、イニエスタもそこで止まらないため流れが切れない。意図的に攻撃がスピードアップするので自分にも仲間にも無理がない。

 それでいてドリブルを始めればその動作で数人を出し抜ける。91分には、体の向きとファーストタッチで1人をかわすとして持ち込む。味方からのリターンが弱くワンツーは窮屈になったが、左PAの角付近からコンビネーションで抜け出し相手を混乱させる一連のプレーは、イニエスタらしさを象徴するものだった。

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