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Jリーグ 6年前

トーレスにできること、できないこと。“神の子”の鳥栖デビュー戦で見えた今後への期待

text by 青木務 photo by Getty Images

トーレスを生かすために必要なこと

 随所に存在感を発揮し、上々のデビューと言えるだろう。しかし、チームメイトとすり合わせるべき課題も生まれている。自身のところで何度かボールを失っており、攻撃にブレーキがかかることがあった。

 元々、一人でプレーを完結させるタイプではなく、連係で力を発揮する選手だ。この日のトーレスはシュート以外にもドリブルあり、スルーパスありと多くのことをこなしている。元スペイン代表を最大限に生かすにはプレーの取捨選択が必要だろう。そのためにも味方の援護が重要になる。

 とはいえ、合流間もないことを考えれば質の高さは示したと言える。トーレス自身のコンディションはまだ万全ではないはずで、チームメイトとの意思疎通もこれから深まっていくはずだ。その意味では、世界的ストライカーの片鱗は見せられた。特に味方との距離が近くサポートがある場面では、シンプルで冷静なプレーで攻撃の起点になっている。

 ポストプレーの精度も時間が経てばさらに高まっていくはずだ。相手DFに身体を密着させてボールを呼び込むのはもちろん、76分に吉田豊が抜け出して生まれた好機ではトーレスがスッと下がってボールを引き出し、トラップからループパスを通した。前線でどのように振舞えばいいかが染み付いている。

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