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Jリーグ 6年前

G大阪、逆襲なるか。宮本監督が描く青写真。前任者の“負の遺産”を好転させるには?

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「戦術的な落とし込みをする時間が少ないのは事実」。それでも

 クルピ前監督が電撃的に解任されたのが先月23日。後任として白羽の矢を立てられ、火中の栗を拾う形で慌ただしくトップチームコーチ及びU-23チーム監督から昇格した宮本監督は、オフをはさんで始動した25日から、自ら描いてきた理想を半ば封印しながら指揮を執ってきた。

 準備時間わずか3日で迎えた、鹿島アントラーズとの就任初戦。右サイドハーフとして起用したDF米倉恒貴が放ったクロスがそのままゴールインする幸運もあって引き分けに持ち込んだ後には、ともに中3日の過密スケジュールでジュビロ磐田戦、グランパス戦が休む間もなく待ち構えた。

 前者は後半アディショナルタイムの失点で追いつかれて勝ち点1にとどまり、後者は2点のリードを後半に入ってひっくり返された。開幕前のキャンプで走り込みなどをいっさい課さなかった前任者の方針が、日本列島を襲う酷暑と負のスパイラルを形成して、後半になって足を止めさせる。

「戦術的な落とし込みをする時間が少ないのは事実ですし、連戦のなかでなかなか(課題の解消に)タッチできない難しさがありますよね。やはり(監督は)簡単じゃないですよ。それはいま現在も思いますし、J3の監督を務めているときも思ったことですけど」

 育てることと勝つことの二兎を追い求めたU-23チームの監督から一転して、トップチームでは何よりも結果が問われる。勝負の世界の掟をあらためて痛感している日々。だからといって、ファイティングポーズを失いかけているわけではない。鋭い視線は8月20日以降へ向けられている。

「仙台戦の後がちょっと空くので、そこからというのはありますね。いまは本当に立て続けに試合が来るので、そこをこなしていくしかないので」

 FC東京戦から中4日で北海道コンサドーレ札幌戦が、再び中3日でベガルタ仙台戦が待っている。しかし、幸か不幸か。8月22日に4回戦が行われる天皇杯全日本サッカー選手権大会で、前任者に率いられたガンバは関西学院大学(兵庫県代表)の前に不名誉な初戦敗退を喫していた。

 つまり、ベガルタ戦から中6日で残留を争うサガンとの直接対決に、中5日で川崎フロンターレ戦に臨み、その後は国際Aマッチデーウイークに伴って2週間空く。9月5日と9日にはマリノスとYBCルヴァンカップ準々決勝を戦うものの、時間的には大きな余裕が生じる。

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