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日本代表 6年前

まさかの大凡戦。森保J、アジア大会初戦でネパールに苦戦。拭えぬ停滞感…改善の余地は?

text by 舩木渉 photo by Getty Images

今こそ野心を示す時

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原輝綺は停滞しがちな攻撃に新たなアクセントを加えることを提案していた【写真:Getty Images】

 大会の事前合宿は移動込みの2日間しかなく、全員が揃っての戦術練習をこなす時間もなく、初招集のメンバーもいる中で、選手たちが自発的にチーム力向上のために行動できるかどうか。森保監督はアジア大会同様に準備期間が短く、日程的もタイトで、招集できる選手の数も限られる東京五輪に向けて、21歳以下の若者たちに「自主自立」を植えつけようとしているのかもしれない。

 例えば、ネパール戦では原のように「テンポを変えていこうと話はしましたし、自分の中ではオフェンシブにゆるいパスをつけて、リターンしてもらってというイメージはありました。あとはもうちょっと早めにクロスとか、浮き球をうまく使っていけたらなというイメージは自分の中にある」と、追加点を奪うための独自のアイディアを持っている選手もいた。

 最終ラインの右から積極的にビルドアップに絡み、後方から煮え切らない展開を見ていた背番号7は「3バックの左右が高い位置をとった時に、そこからクロスだったりというイメージを、少し前の人とも話し合って、次からうまく使っていきたい」とも語る。

 そうやってネパール戦で出た課題やアイディアをしっかりと吸い上げ、16日のパキスタン戦で形にできるかどうか。次の相手はベトナムとの初戦を0-3で落としており、決勝トーナメント進出に向けて死に物狂いで日本にぶつかってくる。そのような士気の高い相手に、試合の主導権を握るだけでなく、複数得点を奪えることを示さなければならない。ネパール戦のように緩く、変わらないテンポのパス回しに終始しては前進がなくなってしまう。

 中1日での連戦のため、新しい攻撃の形をピッチの中で試す時間はないが、ネパール戦で見えた課題について話し合う時間は十分にある。勝てば決勝トーナメント進出を決められるパキスタン戦は、初戦でのネガティブなイメージを払拭し、本当の意味での監督の意図、選手たちの意思、向上心、野心、勝利への執着心といった要素を見極める一戦にしたいところだ。

(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

【了】

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