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日本代表 6年前

森保監督が「東京五輪世代」に求める3つの能力。A代表にも通じる日本が抱えた積年の課題

text by 舩木渉 photo by Getty Images

次なる相手は韓国を倒したマレーシア

森保一
森保一監督は東京五輪世代の選手たちに自主自立を求めている【写真:Getty Images】

 ただ、結果が伴わなかった。いくつもの判断ミスに起因する失点と、長時間の劣勢が響いたか、ゴールを奪うまでには至らず。森保監督も、ベトナム戦で選手たちが見せたパフォーマンスには満足していないだろう。

「システム的に変えたから、スムーズにいったところはもちろんあるかもしれないですけど、サッカーはやはりゴールを奪い合うスポーツの前に、ボールを奪い合うスポーツであるということ。球際の部分で前半は相手に上回られたところがあった。後半は球際の部分でも選手の勇気や、絶対に球際に勝つんだという気迫というところ、ルーズボールに対しての予測のギアが上がったかなと思っています。

(日本にも)技術的には持っている選手達が多いと思うので、もう一度ベースの部分のボールを奪い合うというところ、球際の部分があって、技術が活きてくるということは、選手たちが次に向けて今日の試合から学んでいく部分だと思います」

 ピッチ上で選手たちが自発的にコミュニケーションを取って問題を解決する判断力、ボールを相手にいい形で渡さないよう球際で戦う勇気、そしてもう1つ、森保監督が今だからこそ選手たちに求める能力がある。

「(失点は直接関わった)彼らだけの責任ではないですし、チームの責任だと思います。今日の試合は彼ら2人(神谷と三苫)を変えたかもしれないですけど、今後も全ての選手がずっと競争の中にいる。うまくいかなかった後とか、悔しい、歯がゆい思いをした後に、どういうリバウンドメンタリティを見せてくれるかが、ある意味今の若い選手にとって、まだまだ伸びしろがあると思いますし、成長しなければいけないところで。もうひと踏ん張り、メンタルを切り替えていって欲しいです。そこは指導者としても必要な働きかけをしていきたいと思います」

 次は決勝トーナメント1回戦のマレーシア戦。グループリーグで優勝候補筆頭の韓国を破った、勢いのある強敵だ。ベトナム戦とは違い、勝ち進むために負けは許されない。これまで以上に厳しい戦いが予想される中、東京五輪世代の日本の選手たちはどのように敗戦から立ち直り、どんなコミュニケーションを取って試合に臨み、ピッチ内での予測不可能な状況に対応していくのか。

 森保監督は「アジアなら常にベスト4に入らなければ世界とは戦えない」と常々口にしている。A代表にも繋がる課題を解決するためにも、マレーシア戦は日本の現在地を測る重要な一戦となる。そして、アジアの舞台でで突きつけられた課題を解決できなければ、選手たちにとってもA代表へのステップアップの道は開けてこない。

(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

【了】

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