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CLでは戦えない? ドルトムントに漂う苦難の予感。2部に辛勝は想定内も…完成形も期待薄

text by 本田千尋 photo by Getty Images

“ファブレらしさ”は随所にあり

 このようにドルトムントは格下相手に薄氷のゲームを展開した。だが、アンダードッグが格上を追い詰めること、それこそがカップ戦の1回戦の醍醐味だ。他会場に目を向ければ、18日にバイエルン・ミュンヘンは、レギオナルリーガ北地区所属(4部相当)のSVドロヒテルセン・アッセルに1-0で辛勝。

 監督交代、選手の入れ替わりと、ドルトムントと似たような状況にあるアイントラハト・フランクフルトは、レギオナルリーガ南西地区所属のSSVウルムに1-2で不覚を取った。

 何よりルシアン・ファブレ監督が、フュルト戦に向けた会見で苦戦を予想している。プレシーズンを通して着実に準備を進めてきたが、まだやるべきことはある。チームは未完成の状態だ。対するフュルトはというと、ブンデスリーガ2部は8月の頭に開幕しており、既に公式戦をこなしてきている。コンディショニングの差は否めない。

 実際、当日のゲームは、指揮官の予言どおりの展開。もちろん負けてしまっては元も子もないが、結果的に苦しみながらも勝ち切って2回戦に駒を進めたのだから、終わってみれば、予定調和のゲームだったのだ。

 そしてフュルト戦の中では、今後さらに熟成するはずの“ファブレらしさ”が発揮されていた。26分、最後尾からダフート、マリウス・ヴォルフと縦に繋いで、プリシッチが左サイドのマルセル・シュメルツァーに渡す。シュメルツァーはファーサイドのロイスに大きくクロスを上げる。そしてロイスがシュートまで持っていく。

 40分には、アブドゥ・ディアロからヴォルフ、ダフートとダイレクトに繋いで一挙にゴールに迫った。こうした逆サイドや中央を突こうとするダイレクトプレーは、指揮官が率いていたボルシアMGが持ち味としていた攻撃パターンだ。

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