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日本代表 6年前

韓国撃破でアジア制覇へ。U-21日本代表に漂う最高のムード、極上の一体感で日韓戦決勝に挑む

text by 舩木渉 photo by Getty Images

一体感を高める「一発芸」の文化

 その中心にいるのは、やはりDF初瀬亮だ。ガンバ大阪でプレーする生粋のムードメーカーは、「全然意識もしてない」というが「せっかく自分たちが好きなサッカーをしているわけですから、静かにやってもしゃあない」と率先してチームの雰囲気を盛り上げている。

 チーム内の雰囲気を象徴するエピソードも数多くあった。決勝トーナメント1回戦の前日に50歳の誕生日を迎えた森保監督には、練習後に選手たちから大量の氷水を浴びせられた。そこに一切の遠慮なし。「明日は絶対勝つぞ!」という指揮官の掛け声で、全員の結束がさらに強まった。

 他にも大会中に誕生日を迎えた選手は、自ら全員の前で一発芸をする文化も出来上がっている(そしてだいたい何人か巻き込まれる)。森保監督の誕生日の前日には、MF松本泰志が20歳を迎え、「初めてやった」という一発芸を披露。自他ともに「スベった」ことは認めたが、場は和んだことだろう。

 準決勝のUAE戦前日には上田が20歳になり、もはや恒例の一発芸をした。初瀬曰く、オビや渡辺も同様に一発芸を披露したが「綺世が一番面白かった」とのこと。そのおかげで日本を決勝に導くゴール他生まれたのかもしれない。

 ムードメーカーの初瀬は、アジア大会でこれまでにないチームの団結を実感したとも話す。
 
「年齢関係なく、食事会場でも結構コミュニケーションを取っている場面もよく見ます。試合前だったり、ハーフタイムの雰囲気がすごくいいのは、一番いいなと思った。『こうしたほうがいい』『ああしたほうがいい』とみんなが(意見を)ぶつけ合っていたのが、これまでの遠征になかったところだと思う」

 森保体制のU-21代表常連メンバーで、昨年のU-20ワールドカップにも出場した初瀬。今回のアジア大会のチームの雰囲気は、アジアの頂点に立って世界への切符を勝ち取った2年前のAFC U-19選手権当時のものに近いとも感じている。

「あの時もすごく雰囲気が良くて、それで優勝したと言っても過言はないと思うし、ベンチのメンバーも皆一緒に揃ってやっていたイメージがある。チームで集まれない分、代表の短期間の中で、そこは一番大事かなと思うし、チームとしてのコミュニケーションは重要で、それがピッチ内にも影響してくるのかなと感じます」

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