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Jリーグ 6年前

「マリノス内紛」は本当にあったのか? 指揮官の真意は選手批判にあらず

text by 舩木渉 photo by Getty Images

指揮官が強調する「勝利のメンタリティ」とは

 マリノスでは「同じ失敗を繰り返している」という認識を伊藤以外の選手たちも同じように持っているし、指揮官の高圧的なアプローチは今に始まったことではなく、以前から不満も少なからずあった。それよりもポステコグルー監督が記者会見で本当に伝えたかったことが欠けて、「内紛」や「崩壊」と結びついてしまう方が危うい。

 確かにポステコグルー監督は興奮していたが、「勝利のためのメンタリティ」の必要性について次のように訴え、むしろ「やるべきことに100%の力を尽くしたのか?」というメッセージを込めて選手たちに奮起を促していた。

「我々は戦うことだけを考えていく。私は攻撃的なフットボールを愛し、エキサイティングなフットボールが大好きで、そして勝利も愛している。勝利への愛情が、このフットボールをやっている理由で、キャリアを通じてそうやってきた。選手たちも勝利が好きだと思う。

ただ『いいフットボールをしてハッピー』というだけでは、うまくいっているとは言えない。我々はそれを理解する必要がある。私は今後、戦える選手を選んでいくつもりだし、彼らなら自分がやろうとしているサッカーができると思っている。

今日はスタジアムに足を運んでくれた4万人ものサポーターが残念がっている。これが初めてではない。継続して起こっていることだ。我々は一線を越えてしまったということを理解する必要がある。選手たちは勝者にならなければならない。彼らはフットボールが『競争』であることを理解する必要がある。これは映画ではないんだ。『競争』なんだよ。強い姿をはっきりと見せていく必要がある。

私は今日の敗戦から学んでいる。選手たちは敗戦やサポーターたちから学んだだろうか。勝利すべき試合だった。もっと簡単に……簡単に勝ちたかった。不運だったというところからは離れなければならない。我々にはより多くのチャンスがあった。変わる必要がある。その全てを見せていくつもりだ」

 では今、残留争いというチームにとって未知の領域が目の前に広がっている状況で、マリノスに何が必要なのか。ポステコグルー監督の主張する「勝利のメンタリティ」はもちろん、多くの選手たちは「チーム一丸となること」だと断言する。

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