フットボールチャンネル

日本代表 6年前

日本代表に早くも懸念…。失われた強化のチャンス、より明確になった招集基準。チリ戦中止の影響は?

text by 元川悦子 photo by Getty Images

2011年という類似例はあるが…

 大震災で日本代表の強化スケジュールに狂いが生じた類似例として、2011年のザックジャパンが挙げられる。3月11日の東日本大震災発生によって同25日のモンテネグロ戦と同29日のニュージーランド戦が中止となり、急きょ29日に大阪・長居スタジアムで震災復興チャリティマッチが組まれた。

 日本代表とJリーグ選抜が対戦し、三浦知良がゴールを挙げるなど、被災した人々を勇気づける意味では大きな価値があった。しかし、日本代表の強化という意味では欧州組を呼んで強化できる貴重な10日間を逃したと言わざるを得ない。

 さらにこの年は、6月に参戦が決まっていたコパ・アメリカも辞退となり、9月からスタートしたブラジルワールドカップアジア3次予選に少なからず影響が出た。実際、日本はこの3次予選で2011年11月に行われたアウェイの北朝鮮戦と翌年2月のホームでのウズベキスタン戦と2つの黒星を喫している。初戦のホーム・北朝鮮戦を吉田麻也の劇的な後半アディショナルタイム弾で勝ち切っていなければ、最悪のシナリオもあり得る展開だった。

 エース・本田圭佑の長期離脱というアクシデントに見舞われたのも大きかったが、3次予選前に十分な強化期間を取れなかったのも、選手層を厚くできなかった一因と見ることもできる。

 今回の北海道大地震は7年前に比べると復旧のスピードが早いため、森保ジャパンへの影響は最小限にとどまりそうだ。次の10月の2連戦と11月の2連戦で4試合きちんと消化することができれば、来年1月のアジアカップに向けてのベースはある程度、構築可能だろう。

 中島、南野、堂安、遠藤航らが森保ジャパンの柱として名乗りをあげたというのも、コスタリカ戦の目に見える収穫だった。ただ、仮にもう1試合を予定通り消化できていれば、もっと多くのタレントを発掘できていた可能性はある。天災という不可抗力があったとはいえ、そこは大いに悔やまれる点だ。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top