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Jリーグ 6年前

神戸から香るリージョ・イズム。暫定体制で披露した「頭が疲れる」新戦術のエッセンス

text by 舩木渉 photo by Getty Images for DAZN

リージョが目指すのはセビージャの再現?

 後半、神戸は早い段階で大きな戦術変更に踏み切った。54分に長沢を下げて左サイドからのドリブル突破が持ち味の古橋亨梧を投入する。それに伴いシステムを4-2-3-1に変更し、三田を本来のボランチの位置へ戻す。ポドルスキは高い位置でボールに絡ませるためトップ下に置き、郷家は右サイドハーフに回った。

 ここで気づいた。もしかしてリージョ新監督がやりたいサッカーは2016/17シーズンのセビージャなのではないか、と。清武弘嗣が半年間だけ在籍していたあのシーズン、セビージャはホルヘ・サンパオリ監督の指導でラ・リーガのトップ4に入った。

 その時、サンパオリのアシスタントコーチとして戦術面を司っていたのが、他ならぬリージョなのである。ボールポゼッションを基盤としながら、複数のシステムを対戦相手や状況に応じて使い分け、試合の途中でも柔軟に変えていく。

 最終的には4-2-3-1がベースのシステムになったが、シーズン開幕から3-4-3、3-5-2、4-1-4-1、4-1-3-2、4-4-2などあらゆる形にトライし、対戦相手たちを大いに苦しめた。象徴的だったのは2016/17シーズンのラ・リーガ第28節アトレティコ・マドリー戦だった。

 この試合は3-4-3でスタートしたセビージャだったが、前半終了までに5人のポジションを動かした。「偽9番」としてフリーマン的役割を求めていたサミア・ナスリが機能していないと見るや、セントラルMFへ配置転換。それに伴い、複数の選手がシステムはそのままに別のポジションへ動いた。

 しかし、これにアトレティコのディエゴ・シメオネ監督も反応してヤニック・カラスコ、コケ、サウール・ニゲスのポジションを動かす。そして前半のうちに先制ゴールも奪った。

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