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Jリーグ 6年前

名波ジュビロ、静岡ダービー屈辱の惨敗。見せつけられた歓喜、それでも・・・抗い続けた荒木大吾

text by 青木務 photo by Getty Images for DAZN

閉塞感を打ち破る上で、荒木は重要なピース

 荒木は言葉を吐き出した。自分自身に腹を立てているようだった。確かに、力の出し方は工夫できればより良かっただろう。だが、彼がアクションを起こさなければこの試合で残るのは『惨敗』という結果だけだった。

 相手が複数で行く手を阻んでくる中でも、荒木は得意のドリブルで勝負に出る姿勢を貫いた。チームは極めて重要な一戦を落としており、希望と呼ぶには弱々しい光かもしれない。また、荒木の抵抗は清水にとって取るに足らないものだったかもしれない。それでも、最後までファイティングポーズを取り続けたことは評価に値する。

 名波監督は試合後、選手たちに対し「清水のサポーターが喜んでいる姿をちゃんと目に焼き付けておけ」と伝えたという。そして、荒木は「ここでやったルヴァンカップで負けた時も見たし、今日の応援も全部聞こえていた。全てにおいて押しつぶされたなと思います」と改めて悔しさを露にした。

 今シーズンはカップ戦で結果を残すことで、リーグ戦の出場機会を増やしてきた。ロシアワールドカップによる中断期間が終わると、途中加入の選手や怪我人の復帰でメンバー争いも激しくなった。それでも、生粋のドリブラーであり、両足でパワフルなシュートを放てるなど他の選手にはない武器を持つ荒木は、自身の価値をアピールしている。

 次節は2週間後。磐田はV・ファーレン長崎と対戦する。残留争いのライバルとの直接対決に勝てなければ、J2降格はより身近な危機となってしまう。勝利がマストの状況は、恐らく最後まで続くだろう。そんな中、屈辱にまみれたダービーでアクションを起こした荒木大吾は、閉塞感を打ち破る上で重要なピースになる可能性を秘めている。

(取材・文:青木務)

【了】

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