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日本代表 5年前

森保ジャパンには夢がある。ウルグアイ撃破が生んだ希望、「即時奪回」がもたらした4得点

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Shinya Tanaka

「勝ちにこだわる」戦いを最後まで

森保一
森保一監督のチーム作りは急速に進んでいる。世代間の融合もスムーズで、自由を与えられた攻撃陣は躍動している【写真:田中伸弥】

 実は1点目のシーンに繋がるスローインの直前も、攻撃をシュートで完結させることこそできなかったが、南野のプレッシングによって相手に自陣ゴールに近い位置でのクリアを選択させていた。こうして見てきた通り、「高い位置でボールを奪えたこと」がビッグチャンスや4つのゴール全てに繋がっている。

 3失点こそしたものの、4-4-2で選手間の距離を縮めながらボールを外に追い込み、相手が中央を狙ったところで複数人で囲んで奪取を試みるなど、守備面での狙いもハマっていた時間が長かった。もちろんボールを奪われた後の攻撃から守備への切り替えも見事だった。

 森保一監督は「(中島、南野、堂安の)3人は得点にも絡んでくれていますし、チームの攻撃を引っ張っていくという気持ち、自分が得点に絡んでいくんだという強い気持ちをもって戦ってくれている。結果がついてさらに自信を深めたと思うし、彼らの自信をさらによくチームに組み込んでいけるように」と、攻守に躍動する“NMD”を称賛した。

 そして「選手たちは守備で入りからアグレッシブに相手の選手にチャレンジしていく、ボールを奪うためにチャレンジしていく、多少後手になっても粘り強く個々の責任をもって戦ってくれた。個々の局面から周りが距離感をよくして相手にやらせないという守備は、選手たちが私が求めていることを実践してくれた」とも述べており、ゴールに繋がった守備意識の高さにも手応えを得たようだった。

 終盤、交代枠は2つしか使われなかったが、ウルグアイという強豪相手に「勝ちにこだわる」実戦のシミュレーションを貫けたのも4つのゴールを奪えたからこそ。アジアカップを前に国際大会と同等の高いレベルで実戦シミュレーションをできる機会は少ない。常に失点する危険性と隣り合わせの緊迫感の中で、ロシアワールドカップまでの従来の主力と“NMD”のような新戦力の融合を図ってチーム作りを進めながら、実戦感覚を養えたことの意味は、後々効いてくるかもしれない。

 今回のウルグアイ戦は4得点を奪って勝利できたこと以上に、組織としての完成度を高めるうえでも大きな収穫のある一戦となった。もちろん徹底した日本対策を講じてくるアジアの戦いはウルグアイ戦以上の厳しさかもしれないが、希望あふれる森保ジャパンの快進撃がどこまで続くか楽しみで仕方ない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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