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Jリーグ 5年前

湘南のホープたちが勝ち取った初戴冠と制裁金の25倍。「ベストメンバー規定」を乗り越えた“最強チーム”に

text by 藤江直人 photo by Getty Images

ベストメンバー規定違反をきっかけに飛躍した若手たち

 シーズン序盤という時期も、ベストメンバー規定違反と密接にリンクしていた。件のサガン戦で先発したDF坂圭祐(順天堂大)、FW山口和樹(国士舘大)、FW鈴木国友(桐蔭横浜大)は大卒の、金子は神奈川大学を1年で中退し、開幕前の2月に加入したばかりのルーキーだった。

 チームに加入して間もないがゆえに、出場時間が限られることも多い。A契約を満たす450分間に届かないのはむしろ必然と言ってもいいなかで、それまでの練習で心身のコンディションがいい、十分に戦えると曹監督の目に映った11人がサガン戦での先発を射止めたわけだ。

「かなり若いメンバー編成だったけど、相手よりもはるかにいい試合ができた。僕自身は勝てた試合だったと思っているし、それくらい内容がよかった」

 サガン戦でフル出場を果たしたことで、公式戦における合計プレー時間がちょうど450分間に達した坂が胸を張りながら振り返る。敵地で真っ向勝負を演じたベルマーレは、スコアレスドローでグループリーグの連敗を阻止。残り2試合で連勝し、V・ファーレン長崎を逆転してのプレーオフ進出へつなげた。

 そして、ルヴァンカップを飛躍へのステップにする形で、坂はリーグ戦でも出場機会を増やしていく。5月に入ると3バックの中央に定着し、ヨーロッパでのプレー経験も長い34歳のベテランで、来日4年目でJリーグでの実績も十分なブラジル人のアンドレ・バイアから完全にポジションを奪った。

「練習参加した際に、ベルマーレがベテランも若手も関係なく、最も向上心あふれる練習をしていた。確かに厳しいかもしれないけど、そういうチームに身を置くことで、若いうちに厳しいことに慣れておいたほうがいいと考えたのが一番の決め手です」

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