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Jリーグ 5年前

神戸はバルサ化できるか――その問い自体が間違い。まず持つべき「我々の生き方」という信念【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

重要なのはポゼッション率より「我々のやり方」

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長年あらゆる形でバルサを支えてきたカルレス・レシャック氏【写真:Getty Images】

 バルセロナを模倣したチームの多くが「70%程度のボール支配」を実現する。ところが、それで「80%の試合には勝てる」にならない。「我々のやり方で」が欠けているからだ。

 レシャックの言う「我々のやり方」には、例えばリオネル・メッシのようなスーパーゴールゲッターが含まれているかもしれない。目から入ってきた周囲の状況が何を意味するのかを一瞬で判断できる認知能力もそうだろう。根本的なボールを止める・蹴るといった技術も当然含まれる。要は、「FCバルセロナはどうプレーすべきか」を、切り取られた一瞬の中で共有し表現し続けることが、「我々のやり方」になる。

 だから、たんに試合時間の7割ボールを持っていてもどうにもならないのだ。ボールの失い方が悪ければ、カウンターで失点して70%保持の意味などなくなってしまう。失ってはいけない場所で失うからそうなるわけで、バルサにはその失敗が少ない。そもそもボールを失ってはいけない。失う危険が高いプレーをするから失う。逆にいえば、攻め込むべきときにチャレンジできないからそうなる。また、失ってもちゃんとボールを回収できる方法を知っている。回収できない場合の対応もある。それらすべてをひっくるめての「我々のやり方」であって、それなしの70%はハリボテにすぎない。

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