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Jリーグ 5年前

名古屋・相馬勇紀は“全勝の男”。不慣れなポジションも堂々、現役早大生のインテリジェンス【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

縦にぶち抜くスピードとインテリジェンス

 身長165センチ、童顔。しかし胸板は厚い。両親ともにテニス選手だった。小柄ではあるけれどもガチムチな体格とスピードは遺伝なのかもしれない。3歳からラケットを握っていたのだが、なぜか小学1年生からサッカーに傾いていった。三菱養和SCから早稲田大学ア式蹴球部へ。今年5月に名古屋入団が決まっている。

 8月11日の鹿島アントラーズ戦で特別指定選手としてJリーグデビュー、いきなりアシストを記録する。4日後の横浜F・マリノス戦では、90分に右サイドを縦にぶち抜いてからのクロスボールで2-1と勝ち越すゴールをアシストした。スプリント力抜群、クロスも正確。スーパーサブ的な働きを見せた横浜FM戦の印象から、それ専用の選手かと思っていた。ところが、前記のとおりハーフスペースでのプレーも上手い。あれで「ほぼ初めて」なら、相当なポテンシャルだ。

 名古屋は中2日でのC大阪戦だったので、本来ならハーフスペースに並ぶはずのガブリエル・シャビエルと玉田圭司がベンチスタートだった。ただ、チャンスが巡ってきた相馬も大学の試合があって実は中1日。後半残り約10分で玉田が入ってきてからは右アウトサイドにポジションを変えてフル出場している。

「中1日と言われますけど、使っていただけるかぎりは、自分にできることは全部やってやろうと思っていました」(相馬)

 さすがに最後の15分間は「ミスも目立ちましたし、集中力と判断が欠けてしまい、そこは課題ですね」と話していた。優しい話し方だ。大学生だけあって自己分析はしっかりしている。論理的に考えて話せるタイプのようだ。

「前半は何度か仕掛けていけましたけど、止める・運ぶと判断力をもっと上げていかないといけない。クロスボールも4本のうち3本はシュートに結びつけられないと」(相馬)

 21歳、正式に名古屋の選手になるのは来年という目で見れば、期待感の膨らむプレーだった。だが、本人は「結果」にこだわりがある。

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