サポーターを練習に招待。異例の手法で一体感を生む
誰もが羨むほどタイトルをコレクションしてきたオリヴェイラ監督だが、「勝者」としての特別な資質を有しているのかどうかという質問には答えようとせず、「ベストを尽くすだけだ」と笑顔を浮かべるにとどめた。だが、選手たちが彼と同じようにトロフィーを集めていきたいのであれば、然るべき姿勢が必要であることは強調していた。
「基本となるのはメンタリティーだ。素晴らしい能力や技術、個人能力を持った選手たちと一緒に仕事をしたことは何度もあったが、気持ちの強さや十分な自信がなければ何もないのと同じだ。だから選手たちと一緒にその部分に取り組まなければならない。良い選手は、自分ができることに自信を持てばさらに良い選手になれる」
チームにモチベーションを与え、自信を高めさせるため、監督は天皇杯準決勝と決勝の前日の練習に浦和ファンを招待するという異例の手法を採用した。ファンと選手たちの間に一体感を生み出すためだ。
「このチームのサポーターは人数もクオリティーも素晴らしい」とオリヴェイラ監督はそのアイディアについて説明した。
「そういうファンをもっと近くに連れてくるべきだ。彼らがああいう振る舞いをしてくれて、選手たちの近くにいてくれれば、その熱気が選手たちにも伝わる。ファンがどれほどチームを愛しているのかを選手たちに感じてもらい、そういう熱気や自信を伝えてもらうためにファンをより近くへ連れてきた」
今回はその手法が確実に功を奏した。触れるものを全て黄金に変える力を持った指揮官に、ファンが今後数年に向けた期待を高めていくことも間違いないだろう。
(取材・文:ショーン・キャロル)
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