横浜FM、爆発的攻撃力は最高評価の一方…。スタイル大転換も安定感は皆無【2018年Jリーグ通信簿】

今季のJ1リーグも全日程が終了した。この1年間、各クラブはどのようなシーズンを過ごしたのだろうか。今回は12位フィニッシュとなった横浜F・マリノスの2018シーズンを振り返る。

2018年12月27日(Thu)10時20分配信

シリーズ:2018年Jリーグ通信簿
text by 編集部 photo Getty Images
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新体制で大変貌を遂げるも…

横浜F・マリノス
横浜F・マリノスの選手たち【写真:Getty Images】

 アンジェ・ポステコグルー監督を迎えての1年目、横浜F・マリノスはスタイルの大転換を図った。

 これまでは堅守を武器にした守備的なサッカーがお馴染みになっていたが、今季のマリノスは全く別のチームに変貌を遂げた。最終ラインは極端に高く、ショートパスを多用し、GKは90分間で7kmも走る。ビルドアップ時にボランチのような立ち位置でパスワークに絡む両サイドバックの動きも注目を浴びた。

 とにかく昨季までとはガラリと変わって、実際にプレーする選手たちも戸惑うことさえあった。やはりチームのバランスが攻撃に傾きすぎた前半戦は勝ち星が続かず、降格圏間近まで低迷してしまう。リーグ屈指の攻撃力を誇りながら、ほぼ同じだけ失点してしまうことで逃した勝利は多かった。

 シーズンを通してみると、56得点は優勝した川崎フロンターレに次ぎ、清水エスパルスと並んでJ1内で2番目に多い。反対に56失点は、59失点を喫したV・ファーレン長崎と名古屋グランパスに次ぐワースト3位だった。

 もう1つ象徴的だったのは、失点するとチーム全体の強度が落ちてしまうことだった。今季のマリノスは先制した試合で失った勝ち点がリーグワースト。34試合中19試合で相手より先にゴールを奪いながら、うち7試合は敗れた。

 シーズン通して56得点を挙げる攻撃力がありながら、先制した試合で25ポイントも失っていては上位争いには絡めない。もし先行した試合で失点せず勝ち切っていれば、勝ち点66で川崎Fの勝ち点69に肉薄する成績を残せていた可能性もあったのだ。

 この全体の流れと試合の中でも不安定さは残留争いに巻き込まれた後半戦終盤まで引きずってしまったが、ネガティブなことばかりではない。ポステコグルー監督のサッカーを実践していく中で、天野純と山中亮輔が日本代表から初招集を受けた。

 山中は4ゴール8アシストと自慢の攻撃力に磨きがかかり、オーバーラップしてクロスを上げるだけでなくビルドアップにも貢献できる新たなサイドバック像を築き上げた。天野も直接フリーキック2本を含む5得点と、7アシストで本格ブレイク。ともにチームに欠かせないキープレーヤーに成長した。

 また、プロ入りから負傷続きでくすぶっていた仲川輝人も右ウィングに固定されたことでリーグ戦9得点と大ブレイクを果たし、爆発的なスピードと卓越した得点力で常に相手の脅威であり続けた。他に遠藤渓太や山田康太ら下部組織出身の若手も台頭し、来季のさらなる飛躍に期待がかかる。

 インサイドハーフへのコンバートで復活し、高いプレー強度で中盤を引き締めた大津祐樹。さらにアンカー固定で長短のパスさばきに磨きのかかった扇原貴宏、攻守のバランス感覚が向上した松原健など中堅の選手たちも確かな成長を見せた。

 ポステコグルー体制2年目となる来季は、より明確な結果が求められるシーズンとなる。攻撃的な哲学を貫いて新たなスタイルに磨きをかけていきながら、一部のメンバーが外れた際に崩れがちだった今季の反省を生かし、選手層の薄さを露呈した選手構成も見直していければ年間を通して上位争いに絡めるチームが出来上がるだろう。

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