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日本代表 5年前

“長友佑都の代表外し”は絶対反対? その理由とは…。ピッチ内外で示す存在価値【日本代表熟練記者の眼】

シリーズ:日本代表熟練記者の眼 text by 元川悦子 photo by Getty Images

「世界コミュニケーション選手権優勝」を公言する男

 2008年から足掛け12年間日の丸をつけ、さまざまな個性を持つ先輩たちとフランクに接し、自らを「世界コミュニケーション選手権があったら優勝できる」とまで言い切ってしまう特別なキャラクターが失われたら、森保ジャパンは大人しく地味な集団と化してしまうかもしれない。いい意味での世代交代は若い選手だけでは進まないのだ。

 さらに言うと、メディアやサポーターへの発信という仕事も長友は一身に背負っていた。12月の国内合宿合流時から「このアジアカップで活躍できなかったらもう代表に呼ばれないだろうと。それくらいの覚悟を持って臨んでます」と強烈なインパクトを与える言葉をいきなり口にし、チーム全体をピリッとした空気にさせた。

 1月3日にアブダビ入りした直後には「僕はおみくじは信じないんで。2011年も凶が出たけど、アジアカップで優勝して、インテルにまで移籍できた、僕にとっては大吉だった。全然当たんないし、ただの紙切れですね」と報道陣の笑いを取り、中島翔哉や守田の離脱といったアクシデントが起きた時も「絶対優勝していい報告をしたい」と力を込めた。

 乾が追加召集される時には「乾だと聞いた時はざわつきましたもん。『来るか』と。それが彼の持ってるパーソナリティでしょう」と目を輝かせ、自分に懐いてくる堂安についても「あいつの向上心はすごい。ビッグクラブに行ける可能性がありますよ」と期待を示した。

 そうやって仲間をリスペクトし、前向きに語り、ポジティブな機運を作り、一体感を醸成していくのが長友のやり方。さすがは「世界コミュニケーション選手権優勝」を公言するだけのことはある。

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