『トップ下・久保建英』という魅力。1を3に、FC東京が持つ絶対にして最大のプランB

明治安田生命J1リーグ第3節が10日に行われ、ホームのFC東京がサガン鳥栖に2-0で勝利した。10人になっても堅い守備を崩さなかった鳥栖の、今季初勝ち点への思いを打ち砕いたのが1人の天才のポジション変更。堅守速攻がベースのFC東京が手に入れたプランBが、ゴールが絶対に欲しい場面での切り札となり、勝ち点0を1に、1を3に変える。(取材・文:下河原基弘)

2019年03月12日(Tue)11時10分配信

シリーズ:週刊Jリーグ通信
text by 下河原基弘 photo Getty Images
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残り時間わずか、明らかな変化

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久保建英【写真:Getty Images】

 攻めども攻めどもゴールが遠い。ホーム開幕戦でFC東京は鳥栖の堅守に手を焼き続けた。後半16分にはMF高橋秀人を退場で失い、10人になってからもアウェイチームの抵抗は弱まらない。最前線の元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスまでもが体を張り、頻繁に自陣に戻って守備をする。そこには何が何でも今季初勝ち点をもぎ取るという、チーム全体の強烈な意思が感じられた。

 時間を追うごとにスコアレスドローの雰囲気が色濃くなっていく味の素スタジアム。だが、残り時間が1けたに入るころから、明らかに何かが変化した。徐々に鳥栖のマークがずれ始める。きっちり閉められていたはずの中央で起点ができ、勢いに乗った波状攻撃をFC東京が仕掛けた。

 そのリズムを作り出したのがMF久保建英だった。右サイドからトップ下にポジションを移すと、その圧倒的な技術を活かし狭いエリアでボールを受け、卓越した戦術眼とひらめきでゴールに襲い掛かる。終了間際に、何かが起きる可能性が爆発的に高まっていった。

 そして後半43分、その時は訪れた。右サイドで相手のクリアを拾った東京は、ゴール前にクロスを上げる。こぼれて左に流れた球に反応したDF小川諒也は、そのままダイレクトに左足を振りぬいた。ボールはカバーに入った鳥栖DFに当たりゴールに吸い込まれていった。

 待望のホーム初白星を引き寄せたのは、まさかの相手オウンゴール。だが長谷川健太監督は次のような言葉で、その理由を説明した。

「(10人になった)鳥栖の4-3-2の守備ブロックに有効打を打てなかったので、建英をトップ下のような形にして、最後の10分くらいで少し形を変えた。そうしたら建英が相手の嫌がるとこでボールを受け、2トップの下で自由に動けるようになり、だいぶ変化が出てきて少し相手を崩してクロスが入る形になった。その辺から相手のオウンゴールを生むことができたのかなとは思っています」。

 偶然の産物ではなく、17歳の若武者の働きがあり、最後はチームで奪い取った得点だったのだ。

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