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スーパースター・ロナウドが見せた別格の存在感。ユベントスが用意したアトレティコ攻略法とは

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

A・マドリー攻略の意図

 そこには、A・マドリー攻略のための意図があった。「第1レグを振り返り、ピッチの幅をとって攻めていけなかったという反省があった。カンセロとスピナッツォーラを軸に攻めようと思った」とはアッレグリ監督の弁。そうやって広くピッチを使うことで、4-4-2で強固な守備のブロックを作るA・マドリーを横に広げようとしたのである。

 もっとも第1レグでは、サイドに展開しようにもその前のプレスで断ち切られていた。そこで、3バックだ。パスが安定し、フィジカルも強いエムレ・ジャンを最終ラインに落としたことで、後方から正確に攻撃を組み立てることが可能となったのである。

 サイドを攻略するための仕掛けは、もう一つあった。ロナウドとフェデリコ・ベルナルデスキを、相手のサイドバックとセンターバックの間のレーンに陣取らせることだ。こうすることにより、相手のサイドバックは外を警戒したら良いのか、中を警戒したら良いのか的が絞りづらくなる。そしてA・マドリーの守備組織は、サイドから瓦解を果たした。

 右ではエムレ・ジャンとカンセロの連係が機能し、そこにベルナルデスキも絡んでアグレッシブな攻撃を展開する。そうして相手の組織を右に寄せると、左のスペースが空く。走力に自信のあるスピナッツォーラは果敢なドリブル突破を仕掛けて、対面のサンティアゴ・アリアスを強烈に押し込んでいた。

 27分の先制ゴールはその図式から生まれる。左に出来たスペースにベルナルデスキが流れると、左足で正確なクロスをファーへと放つ。そこにはロナウドが飛び込み、高い打点でヘディングシュートをねじ込んだ。

 得点を奪った後も、各選手は攻守両面で素晴らしいパフォーマンスを見せた。前線は果敢に個人技での突破を挑み、DFラインから中盤までパスミスはほとんどない。ルーズボールへの反応は常にA・マドリーの選手よりも早く、とりわけエムレ・ジャンは幅広く動いてボールを拾いまくる。チームとして明確なミスをしたのは、終盤にアルバロ・モラタをフリーにしてシュートを打たれた場面だけだった。

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