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Jリーグ 5年前

マルティノスが吐露した心の声「もっとチャンスを…」。低迷する浦和の起爆剤になれるか

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「クレイジー」だと感じても…

マルティノス
コンディション維持に苦しんだ移籍1年目が低調だったのは認めるが…【写真:Getty Images】

 そこで登録リスト外になったのがマルティノスだった。今季のACLの舞台に立てないことについて聞くと、「『OK』ではないね(笑)」と残念そうな顔で苦笑する。そして、偽りない本音も口にした。

「確かに昨年はいいプレーを見せられなかった。でも今年はしっかり戦える。チームに関わる人たちがそれを認めてくれると願っている。彼らはACLでプレーするチャンスをくれなかった。それはすごく悲しい。僕とファブリシオの間には何の問題もないけれど、彼は復帰までに8ヶ月くらいかかる怪我をしている。そんな状態の選手をリストに入れるなんでクレイジーだと思う。

最終的に僕をリストに載せず、怪我をしている選手が登録されてしまってハッピーとは言えないけど、仕方ない。それでも僕には戦う場所がある。これについてはかなりコミュニケーションも取った。起こってしまったことは、もう何も変えられない。悲しいけど、前に進むしかないんだ」

 昨年9月に左ひざ前十字靭帯損傷と内側半月板損傷という重傷を負ったブラジル人FWファブリシオは、順調なら今季前半戦のうちに復帰できると見られている。早ければACLのグループリーグ終盤か、あるいは決勝トーナメント1回戦に間に合うとの観測もある。

 ACLの選手登録はベスト8まで入れ替えられないため、それ以前にファブリシオを起用するならシーズン開幕の時点でリストに入れておかなければならない。浦和としては、リーグ戦10試合446分間の出場でゴールもアシストもなかったマルティノスが加入1年目の不振を脱していたとしても、昨年夏の加入直後に驚異的なゴールラッシュを披露したファブリシオの爆発力を重視したのかもしれない。

 マルティノスにとってはJリーグに専念できるとはいえ、アジアの頂点を目指す戦いでチームの力になれないことが何より悔しかった。彼は先月、自身のフェイスブックでひっそりとキュラソー代表からの引退を表明しているが、実はそれも浦和でのプレーに集中するためだった。

「キュラソー代表引退は、僕が浦和でのプレーに集中できるようにしたかった理由の1つでもある。アジアから代表に合流する僕にとって、毎回27時間くらいかかるキュラソーや近隣の国への移動は本当にきつかった。12時間〜14時間ほどの、かなり大きな時差もある。そして、僕も年を取ってきたからね(笑)。Jリーグに来て4年目、28歳になった。年を取ってきているし、自分の体の声も聞いていく必要がある。実際、昨年は僕の体にとって非常に難しいシーズンだった。でも、今は完全にフィットしているし、クラブに関わる誰もが僕の状態がいいのを知っている。このチームに残って貢献したい」

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