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日本代表 5年前

「ドーハの悲劇」。躍進に湧く日本代表を一夜で絶望に…悲劇を招いた最悪のシナリオ【日本代表平成の激闘史(2)】

シリーズ:日本代表平成の激闘史 text by 元川悦子 photo by Getty Images

運命を分けたイラク戦

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日本代表監督のハンス・オフト【写真:Getty Images】

 迎えた10月28日。イラク戦にオフトが満を持して送り出した先発はGK松永成立、最終ライン(右から)堀池巧、柱谷哲二、井原正巳、勝矢、ボランチに吉田光範と森保一、トップ下にラモス瑠偉。前線には中山雅史を頂点に、右に長谷川健太、左にカズの4-2-1-3。

 北朝鮮と韓国に連勝した日本には勢いがあり、開始早々の5分にエース・カズが先制。優位に立ったと思われた。しかし14日間で5試合を戦う超過密日程と主力の固定化が祟り、次第に運動量が落ちていく。

 アメリカ行きの可能性を残していたイラクは鋭いカウンターを繰り出す。前半こそ何とか1-0で乗り切った日本だったが、後半に入ると堅牢だった守備の穴を突かれ、後半9分にとうとう失点。1-1に追いつかれた。

 暗雲立ち込めた日本に希望を与えたのが、後半24分の中山の追加点。ラモスのスルーパスをオフサイドラインギリギリに抜け出した中山が抜け出し、ゴール右隅にシュートを突き刺したのだ。

 最終予選スタート時点で中山はスタメンではなく、スーパーサブ的な扱い。先発に浮上したのは北朝鮮戦からだった。その分、カズやラモスら他の攻撃陣に比べるとフィジカルコンディションがよく、ゴールへの推進力を発揮できる状態だった。この中山がラッキーボーイとなり、日本は残り21分間を守り切れば、悲願達成となるはずだった。

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