「ドーハの悲劇」。躍進に湧く日本代表を一夜で絶望に…悲劇を招いた最悪のシナリオ【日本代表平成の激闘史(2)】

2019年05月13日(Mon)10時10分配信

シリーズ:日本代表平成の激闘史
text by 元川悦子 photo Getty Images
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悲劇を招く最悪のシナリオ

 だが、日本中を奈落の底に突き落とすシナリオが待っていた。後半ロスタイムに与えた右CK。これをイラクは直接、ゴール前に蹴り込むことなく、ショートコーナーを選択した。この不意打ちにカズが翻弄され、いい形のクロスを上げられてしまった。そしてニアポストにいたオムランにヘッドを許し、それがゴールに吸い込まれたのだ。

 直後にタイムアップの笛。試合結果は2-2。他カード次第では引き分けでも可能性があったはずだったが、韓国対北朝鮮が3-0、サウジ対イランが4-3で、上位2位はサウジと韓国に決まった。日本は韓国と同じ勝ち点6だったが、得失点差で下回って3位。当時のアジア出場枠は2だったため、本当にあと一歩のところで大舞台を逃す形になったのだ。

 このイラク戦はテレビ東京で中継され、48.1%の視聴率を記録した。当時の筆者はこの中継を見る立場にいたが、スタジオ解説を務めた岡田武史氏が涙で言葉を詰まらせる姿が強烈な印象に残っている。現場にいた指導者や選手たちは絶望的な気持ちになったはずだ。

「試合が終わって何をやっていたのか、どうやってホテルに帰ったのかを何も覚えていません。まさに『頭が真っ白になる』という状態。僕らは米国ワールドカップへの夢を賭けて戦っていたし、夢をつかみ取れそうなところまで来ていたのにつかめなかった。ショックは大きかった」

 森保が後にそう吐露していた通り、「日本がワールドカップに出るのはまだ早い」という現実を突き付けられたのも事実だろう。

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