あの夜、齊藤未月が涙したわけ。湘南・曹監督が導いた真の姿。U-20W杯へ、主将の覚悟

2019年05月22日(Wed)10時00分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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U-20ワールドカップではキャプテンマークを託される

 涙腺を緩ませた2つ目の理由は、目の前にいる曹監督の大きな存在感だろう。安易に手を差し伸べずに、齊藤がヒントをつかみ、白石コーチに相談するまで機会を待ち続けた。あれこれと思い悩み、試行錯誤したことで、呪縛から解き放たれたときには大きくジャンプできる。

「本当は自分で気がつくのが一番なんですけど。でも、(曹監督のような)指導者が身近にいることは僕にとって本当に大きいし、このチームにいることができて本当によかったと思う」

 以心伝心と言うべきか。曹監督もまた「もう少し早く気がついてほしいけど」と齊藤と同じニュアンスの言葉を、苦笑いを浮かべながら紡いでいる。そして、齊藤を涙させた3つ目の理由は、迷い込んでいたトンネルを抜け出せた、という喜びが全身を駆け巡っていたからだろう。

 本来のパフォーマンスをさらにすごみを増しながら完全に取り戻し、開幕戦からボランチのレギュラーの座をゲット。3月にはひとつ上のカテゴリーとなるU-22日本代表に招集され、おぼろげながら見えていた来夏の東京五輪の代表入り争いをしっかり視界にとらえた。

 迎えた5月7日には、FIFA・U-20ワールドカップに臨むU-20日本代表のメンバー21人のなかに、後輩でもある高卒ルーキーの鈴木冬一(長崎総合科学大附属高卒)とともに選出された。しかも、メンバー発表の席上で、影山雅永監督からはキャプテンを任せたいと期待を寄せられた。

 ワールドカップ予選を兼ねたAFC・U-19アジア選手権でも、左腕にキャプテンマークをまいてきた。出場資格のある1999年1月1日以降に生まれた選手たちのなかで、最年長であり続けた軌跡もあって、齊藤自身も心構えはできていた。もちろん、等身大の自分を貫く決意も忘れなかった。

「言動もそうですけど、僕はプレーでしっかり見せていきたい。具体的にはボールを奪うところと、そこから前へ出ていくところ、体を張るところ、そして奪われた後には全力で戻って守備をするところを見せていきたい」

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