あの夜、齊藤未月が涙したわけ。湘南・曹監督が導いた真の姿。U-20W杯へ、主将の覚悟

U-20日本代表は23日からポーランドで開催されるFIFA U-20ワールドカップ2019に臨む。今大会、U-20日本代表の主将を務めるのは湘南ベルマーレのMF齊藤未月。20歳ながら湘南では確固たる地位を築き、そのボール奪取能力はJリーグ屈指といえる。しかし今シーズン前、齊藤は曹貴裁監督と白石通史コーチとの話し合いの場で涙したという。その理由とは?(取材・文:藤江直人)

2019年05月22日(Wed)10時00分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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「方向性、間違っていないか」

齊藤未月
湘南ベルマーレのMF齊藤未月【写真:Getty Images】

 気がついたときには涙腺が決壊していた。地中海に面したトルコ最大のリゾート地、アンタルヤにあるホテルの一室。湘南ベルマーレを率いる曹貴裁(チョウ・キジェ)監督と話し合いの場をもった齊藤未月は、時間の経過とともにあふれてくる涙をこらえきれなかった。

 2019シーズンの戦いへ向けて、1月28日からスタートしたトルコキャンプ。曹監督の記憶には4日目か、もしくは5日目の夜だったと刻まれている。白石通史コーチとともに部屋のなかへ入ってきた、齊藤が抱えていたジレンマを見抜いていた指揮官は優しい口調で語りかけた。

「方向性、間違っていないか」

 図星だった。湘南ベルマーレユースの最上級生だった2016年5月に、飛び級でトップチームに昇格して4年目。昨シーズンはJ1の舞台で18試合、1188分間にわたってプレーし、アンドレス・イニエスタがデビューした7月22日のヴィッセル神戸戦でJ1初ゴールも決めた。

 アスリートならば誰でも、右肩上がりの軌跡を描いている、と実感している成長曲線を加速させたいと望む。ゆえに自分なりに思案して、新たなテーマを課す。ボール奪取術に絶対の自信をもつ齊藤は、ボールを奪った後のプレーを進化させる青写真を描いてシーズンインした。

「攻撃の部分でいいプレーをしようとか、いいパスを出そうとか、いいシュートを打とうとか。実際、練習でも手応えみたいなものを少し感じていたんですけど」

 しかし、自分では上手くいったと感じたプレーに対して、周囲のチームメイトたちの反応が鈍い。あるときには厳しく、またあるときには優しく、そして常に熱く指導してきてくれた曹監督の表情もどことなく厳しい。違和感がジレンマに変わるのに、それほど多くの時間を要さなかった。

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