藤本寛也には全てが見えていた。初戦ベンチの悔しさ、W杯でピッチ上の“王”になった日【U-20W杯】

U-20日本代表は26日、FIFA U-20ワールドカップ2019のグループリーグ第2節でメキシコに3-0の快勝を収めた。大会初勝利を挙げた若きサムライたちの中心に、藤本寛也がいた。初先発のチャンスを得た東京ヴェルディ育ちの司令塔は、出番のなかったエクアドル戦で描いていた自分なりのイメージをいかにしてピッチ上で表現していったのだろうか。(取材・文:舩木渉【ポーランド】)

2019年05月27日(Mon)17時19分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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「自分が出たらもっとできるのに」

藤本寛也
藤本寛也はメキシコ戦でU-20ワールドカップ初先発を果たした【写真:Getty Images】

 ピッチ上で全てが自分の思うままに動いたら、どんなに楽しいだろうか。サッカーに「完璧」はない。だが「ほぼ完璧」はある。それに近い感覚で、頭の中に描いた画がほぼイメージ通りに現実のものになっていったら、とてつもなく気持ちいいだろう。

 ポーランドで開催中のFIFA U-20ワールドカップ2019のグループリーグ第2節、26日に行われた日本対メキシコ。最終的に日本が3-0で快勝を収めることになるピッチの上に、藤本寛也はいた。

「100%まではいかないですけど、ほぼ。だいたい成功しているシーンが多かった」

 藤本はグループリーグ第1節のエクアドル戦に出場していない。日本は南米王者を相手に前半は苦しい戦いを強いられたが、なんとか1-1に追いついて勝ち点1を確保するという試合だった。そんな改善点の多い試合だったからこそ、藤本には「自分が入ったらもっとやれるのに…」という思いが募っていた。

「エクアドル戦に出られなくて、『自分が出たらもっとできるのにな』と思っていて、それが悔しさを倍増させていて、それで自分が出たらピッチ上で一番いい選手になってやろうと思っていました」

 先発出場のチャンスは2戦目でやってきた。齊藤未月とセントラルMFでコンビを組んだ藤本は、試合の入りから極めて落ち着いていた。メキシコが事前のスカウティングと違うシステムで臨んできても、即座に対応する。

 初戦のイタリア戦で右サイドに入っていたメキシコの10番、ディエゴ・ライネスが中央に陣取ってフリーマン的に動き回っても、慌てることなく齊藤と2人で対応。周りの選手を言葉や身振り手振りで動かしながら、危険を取り除いていく。ビルドアップの場面でも巧みなポジショニングや左足から繰り出される高精度のパスで盤面を組み立てていく。背番号8は極めて冷静だった。

「やってやるぞという気持ちと、冷静に相手を見ながらプレーする、この両方がバランスよくできていたんじゃないか」と影山雅永監督が心理状態を称賛したチームも、破綻することなく柔軟にメキシコを迎え撃った。

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