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Jリーグ 5年前

久保建英が持つ“敵をも味方にする”能力。日本代表の中心へ、天才の前に切り拓く欧州への道

シリーズ:週刊Jリーグ通信 text by 下河原基弘 photo by Getty Images

18歳。国際移籍が解禁へ

 この後はキリンチャレンジカップ、そしてコパ・アメリカ(南米選手権)と日本代表での試合が続く。現在FC東京では右の攻撃的MFとして先発しているが、試合の流れの中で左でもプレーし、さらに選手交代やフォーメーションの変更によってはトップ下や2トップの一角にも入り、結果を残してきた。代表では、どのポジションを主戦場とするのか、どのような役割を担うのかは非常に興味深い。

 またMF中島翔哉、MF南野拓実、MF堂安律らに加え、MF香川真司やFW大迫勇也、FW岡崎慎司といったロシアワールドカップ16強のメンバーたちと、どのように融合していくのかも見どころになるだろう。状況判断に優れ、球離れもよく、周りの選手を使うことにも長けているだけに、早いうちに本来の力を発揮できるのではと期待される。もし、この伸び盛りの俊英がチームの中心として機能するようになれば、日本の強化は大きく進むはずだ。

 そして、もう1つ、この夏、久保にとって大きなトピックになるのが欧州への移籍だ。6月4日に18歳となり国際移籍が解禁となった。いつ海を渡るのかという時期とともに、どのクラブを選ぶのかということも大きく取りざたされている。

 一部報道では基本路線と見られていたバルセロナへの復帰が消滅し、レアル・マドリーやパリ・サンジェルマンなどの他のビッグクラブへの移籍が浮上するなど、身辺は騒がしさを増している。

 これでキリンチャレンジカップ、そしてワールドクラスの選手も出場する南米選手権で、世界を驚かすようなプレーを披露できれば、さらに注目度も選手としての価値もうなぎのぼりになるだろう。

 現在首位を走り悲願のリーグ初優勝を狙うFC東京は、若き天才が引き続きチームでプレーするのを強く望んでいくことになるが、一方で以前、大金直樹社長が「今までにはないようなチームが(視察に)来るというのはあります」と話していたように、世界が久保に興味を持っていることは隠しようのない事実だ。

 将来の日本サッカーを背負うのは間違いない存在。初のフル代表、厳しい南米の戦い、そして移籍問題と様々な重圧がのしかかるが、ケガだけはしないで欲しいと願うばかりだ。

(取材・文:下河原基弘)

【了】

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