「サッカーを楽しむ」が少なく…
過去3度の予選を経験している長友も「決定力不足の解決策? 神様に聞きたいですよ」と苦笑するほど難易度の高いテーマではあるが、それをこじ開けられない限り、日本はカタールに行くことも、8強の関門を超えることもできない。
どうしても不安がつきまとうのだ。看板アタッカーの中島も単にアグレッシブに仕掛けていればいいだけではない。「勝利をモノにする得点を決める」という大仕事を果たす責務が託されるのだ。
「試合も0点で終わってしまったのですごく悔しかった。個人的にはシュートの練習はずっとしているので、それをどんどんやっていくことで先につながると思う。反省して、次はよりよいプレーができるようにしていきたいと思います」と本人も神妙な面持ちで語っていたが、決定力アップは当面の最重要テーマと言っていい。
森保体制発足後、中島は7試合に出て2ゴールを奪っているが、果敢にフィニッシュに持ち込んでいる割には得点は少ない。しかも1~2月の2019年アジアカップもケガで棒に振ったことから、A代表での大舞台を経験していない。
今回のキリンチャレンジカップ2連戦の後、赴くコパ・アメリカが初の世界舞台になるが、そういう重圧のかかる公式大会で日本を勝たせる得点を取れる選手なってこそ、真のエースへと飛躍できるのだ。
代表をけん引してきたカズ(三浦知良)、中田英寿、本田圭佑といった偉大な先人たちはプレッシャーを跳ね除け、大仕事を果たしてきた。中島は今、大きな壁にぶつかっていると言っても過言ではないだろう。
その証拠に、トリニダード・トバゴ戦後は「サッカー楽しむ」という定番コメントが口から飛び出す回数が少なかった。楽しめていない時の中島翔哉は納得できる結果を残せていないということ。個の打開とゴールという両方ができて初めて狙い通りの形になるのだ。
その理想を具現化するためにも、より自己研鑽が必要だ。今回の「明と暗」を彼がどう今後に生かすのか。コパ・アメリカ、カタールワールドカップ予選に向けて、中島翔哉のさらなる変貌を楽しみに待ちたい。
(取材・文:元川悦子)
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