本田圭佑、まるでアイドルの熱狂。カンボジアにもたらした十分すぎる効果の数々【本田二足の草鞋 成功か失敗か・後編】
本田圭佑がオーストラリアAリーグのメルボルン・ビクトリーからの退団を発表した。カンボジア代表監督との二足のわらじは成功か、失敗か。好評発売中の『アジアフットボール批評 special issue08』では本田圭佑のアジアでの挑戦を総括している。今回は一部抜粋し、前後編で公開する。後編はカンボジアでの監督としての挑戦。(取材・文:植田路生)
2019年07月02日(火)10時05分配信
押し寄せるファン。“スター”としての輝き
ピッチ外での本田はどうだっただろうか。カンボジアでは、本田のスター性による効果が如実に出た。初戦は5万人のスタジアムが満員になり、カンボジアのサッカー人気は一気に復活した。現地関係者によれば、これまでは「せいぜい3万人」だったというから、本田による副次的な貢献がもたらされたと言えるだろう。
試合開始前に「本田監督」が紹介されるとスタジアムは大歓声に包まれ、外に出たボールに本田が触れると一斉にフラッシュが焚かれた。アイドルを見るような熱狂ぶりだが、人気という面では十分すぎる本田効果だ。
メルボルン・ビクトリーでもフィーバーは続く。メルボルン市内の練習場には毎日のようにファンが押しかけ、列をなして本田を出待ちしていた。ときには30人以上が列をなしたが、全員にサインをし、写真を撮り、丁寧に接していた。
子連れファンがいると、赤ん坊を抱っこし、「この子は俺に似ている。大物になる」と本田節も炸裂。ファンのほとんどは日本人で、インバウンドという観点では凄まじいものがある。
最も象徴的だったのはACLでのサンフレッチェ広島戦だ。広島での試合に本田ファンが大挙して来場。スタジアムの一角がメルボルンサポもとい本田サポで埋め尽くされた。試合翌日には100人以上のファンが本田の宿泊するホテルを訪れ、やはりそこでも全員にサインなどファンサービスを行った。
アジアサッカーを盛り上げるという意味では、本田の挑戦は間違いなくポジティブなものだった。これほどのスター性のある選手は世界でもそう多くない。
(取材・文:植田路生)
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