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日本代表 5年前

カギ握る南野拓実、久保建英らシャドウの人選。大迫勇也と同じプレーは無理…今こそ採るべき3バック

10日のモンゴル戦を控える日本代表は、さいたま市内で調整を行った。大迫勇也が怪我で不在の中、永井謙佑に加えて今回は、浅野拓磨と鎌田大地を久々に招集。南野拓実、中島翔哉、堂安律、久保建英らが名を連ねるアタッカー陣の中で、最適解を見つけることができるだろうか。(取材・文:元川悦子)

text by 元川悦子

日本代表に課された懸念事項

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日本代表の南野拓実と久保建英【写真:Getty Images】

 10日の2022年カタールワールドカップアジア2次予選・モンゴル戦を控え、さいたま市内で調整を続けている日本代表。合宿2日目の8日には、帰国の遅れた吉田麻也、長友佑都ら8人も合流し、23人全員が揃った。

 メディアに公開された冒頭15分間には、大迫勇也の穴埋め役と期待される浅野拓磨と鎌田大地がリラックスした表情でランニングをする様子も見られ、本番ムードが徐々に盛り上がりつつある。その大迫問題をどうするか。それは今回のモンゴル戦のみならず、森保ジャパンに課された最大の懸案事項と言ってもいいかもしれない。

 1月のアジアカップでも絶対的1トップの負傷離脱というアクシデントに見舞われた。森保一監督は北川航也と武藤嘉紀を抜擢したが、彼らは周囲を納得させるだけの働きを見せることができなかった。これを受け、3月のコロンビア・ボリビア2連戦では鈴木武蔵と南野拓実、鎌田を1トップでテストし、6月のエルサルバドル戦では永井謙佑を最前線に置いた1トップ2シャドウにもトライ。6月のコパ・アメリカ(南米選手権)では岡崎慎司の再招集も試みるなど、指揮官は手を変え品を変え、ベストな解決策を見出そうとしている。

 この中で、ある程度の手ごたえを感じさせたのが、エルサルバドル戦の1トップ2シャドウだろう。もちろん親善試合、かつ相手が弱かったこともあるが、永井が躍動感を前面に押し出して2ゴールを奪い、南野や堂安ともいい距離感でプレーできていた。

 森保ジャパンのベースである4-2-3-1システムだと、1人で収められて、競り合えて、お膳立てもでき、ゴールも奪える大迫のような傑出した存在がいなければ機能しづらい。同じ仕事を今回の永井、浅野、鎌田に求めるのは酷だろう。

大迫と同じプレーは無理

 約1年ぶりに代表復帰した浅野も「大迫さんがいなくなって、同じプレーをしろと言われてもそれは無理」と断言している。彼と永井はスピードタイプであって、相手DFを背負って何とかする選手ではないし、鎌田にしても所属のフランクフルトで2列目起用されている通り、前を向いてリズムを作りながらフィニッシュに持ち込むタイプ。彼らの長所を生かしつつ、チーム全体を効率的に動かしたいなら、今回は3-4-2-1のシステムで戦った方が得策ではないか。

「3バックでやっても全然対応できると思いますよ。選手のレベルも上がってますし、欧州でいろんな経験をしている選手も沢山いるんで、そのへんは全然問題ないかな」と長友佑都も太鼓判を押していた。

 となれば、前線の構成は多様な組み合わせが考えられる。序列を重んじる森保監督が久しぶりに呼び戻した浅野や鎌田を頭から使う可能性は低いから、モンゴル戦のスタメンは永井が最有力と言っていい。そこにエルサルバドル戦と同じ南野と堂安を絡めてもいいし、今回の合宿初日から参加している中島翔哉と久保建英を入れる形もあり得る。浅野や鎌田もシャドウでプレーできるから、彼らを途中から起用する策も採れる。場合によっては原口元気や伊東純也を中寄りに使うアイディアもある。

「今、選手たちが所属チームでホントにいいプレーをしてくれていますし、レベルの高い選手が多い。チームとしていろんなオプションができる」と森保監督も嬉しい悲鳴を上げるほど、選択肢は多いのだ。

久保建英の最年少ゴールは「期待してもらって大丈夫」

 ただ、最近のクラブでのパフォーマンスを見ていると、南野の決定力とゴール前の鋭さはやはり不可欠。9月のミャンマー戦でもゴールを奪っていて、森保ジャパンでの重要度は増している。

「例えばスピードが特徴の選手が最前線に入った場合はサコ君(大迫)が入った時よりもわりと裏のスペースを意識する必要があると思うし、そういう特徴を理解しながらプレーすることは必要だと思います。僕は前目の選手とはほとんどプレーしたことがありますし、分かってる部分は多いので、組んだ選手とお互い意識を合わせながらプレーしていければいい」と今や代表エース級の存在感を示しつつある背番号9は目を輝かせた。

 その南野と同じく9月のミャンマー戦で得点を挙げた中島を加えるアタッカー陣の構成が、現状でのベストかもしれない。ただ、15日の次戦・タジキスタン戦が中4日で長距離移動を伴うことから、エース級を1枚温存させるという策を講じることも必要かもしれない。FIFAランキング183位のモンゴル相手ということを考えると、もっと大胆な采配があってもいい。

「(最年少ゴールのことを)いつまでも言われ続けるのもあれなんで、早いうちに決められればそれで終わりなのかなと。全然期待してもらって大丈夫です」と言い切った久保建英のスタメン抜擢も含め、とにかく大胆な刺激をチームに与えること。それが今の森保ジャパンの成長のためには必要だ。3バックというやや難易度の高いフォーメーションで戦うのはリスクも伴うが、2次予選でも与しやすいと目されるモンゴルとのホームゲームということをしっかりと考えて、森保監督にはマネージメントを考えてもらいたい。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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