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畠中槙之輔、冨安健洋離脱のチャンスを定位置確保のきっかけに「目指さなきゃ意味がない」

text by 編集部 photo by Getty Images

畠中槙之輔
日本代表DF畠中槙之輔【写真:Getty Images】

 日本代表は現地14日、翌日の2022年カタールワールドカップアジア2次予選・タジキスタン代表戦に向けて最後の練習を行なった。

 この試合に向けた議論の1つに、センターバックに誰を起用するかがある。10日のモンゴル戦終盤にDF冨安健洋が負傷退場し、そのままチームを離脱。サイドバックのDF室屋成が追加招集されたものの、センターバックの増員はなかった。

 キャプテンのDF吉田麻也は不動とすれば、相方に誰が選ばれるのかは戦術上でも重要なカギになる。対人戦に無類の強さを発揮するDF植田直通か、ビルドアップで卓越した能力を発揮するDF畠中槙之輔か、あるいは中盤とセンターバックを両方こなせるMF板倉滉なのか、競争は激しさを増している。

 数少ない国内組として日本代表に定着しつつある畠中は、「まだ誰が出るか決まっていないですけど、もし自分がポジションを与えられて試合に出られるとなったら、それはすごいチャンスだと思うし、今後につながるいいアピールができればいいのかなと思います」と意気込みを語った。

 これまで脇役だった選手たちがチャンスを感じて奮起する。挑戦を受ける立場になった吉田は、「みんながすごいですよ。セットプレーで意地でも僕から点取ろうとしてくるので、こっちも必死ですよ」とアピールに燃える選手たちの勢いをハッキリと感じていた。

 そして「僕だけでも無理だし、トミ(冨安)だけでも無理」だと、吉田は競争の必要性を力説していた。

「他の選手もいなきゃいけないので、そういう意味では超ビッグチャンスですよ。他のセンターバックにしたら。ハタ(畠中)とかナオミチ(植田直通)、コウ(板倉滉)もですけど、とんでもないモチベーションでここに来ていると思う。どのポジションでも競争はないといけないし、僕も危機感を持ってやっていきたい」

 キャプテンの言う通り、畠中にも「とんでもないモチベーション」は確実にある。横浜F・マリノスで目覚ましい成長を見せる24歳は、レギュラー奪取を志し「それはもちろん、今回だけじゃなくてずっと思っていることですし、そこを目指さなきゃここに来ている意味はないと思うので」と強い思いを口にした。

 畠中にとって吉田は最高のお手本だ。「直接(アドバイスをもらう)というシーンはそんなにないですけど、やっぱりベンチで試合を見ていたりして、プレーを見て学ぶことはやっぱりたくさんある」とプレミアリーグで長年戦ってきた先輩から多くのことを吸収している。

 守備面での力強さ、攻撃にも貢献する組み立ての能力。学べることは無数にある。だからこそ、日本代表で吉田の隣に立ってプレーする貴重なチャンスを何としてでも手に入れたい。その思いで「自分の場所」と感じるようになってきた日本代表で、必死に毎日の練習に臨んできたはずだ。

「サッカーというのは試合に出てナンボだと思うので、常に狙っていきたい」

 欧州組が増えて少数派になってしまった国内組の意地を、タジキスタン戦で見せられるか。アウェイの地で畠中がJリーグ屈指のセンターバックに成長した姿を証明できれば、日本国内でプレーする選手たちにも大きな勇気を与えることができるだろう。

(取材・文:舩木渉【タジキスタン】)

【了】

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