なぜ、マリノスはマンCより偽SBに依存するのか。“兄”を翻弄した攻撃での絶大な効果【戦術鳥瞰・後編】

アンジェ・ポステコグルー監督率いる横浜F・マリノスがJリーグで魅力的なフットボールを披露している。“同グループ”ペップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティを彷彿とさせる攻撃のメカニズムはどのような選手の配置で展開されているのか? 人気戦術分析ブログ『~鳥の眼~』の筆者とんとんが鳥のように上空から俯瞰し、戦術的観点から両者の“面白いフットボールの正体”を解明した11/6発売の「フットボール批評issue26」から一部を抜粋して前後編で先行公開する。今回は後編。(文:とんとん)

2019年11月05日(Tue)10時10分配信

text by とんとん photo Getty Images
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マンCのお株を奪ったマリノスのメカニズム

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横浜F・マリノスの左サイドバックでプレーするティーラトン【写真:Getty Images】

 アンジェ・ポステコグルー監督が横浜F・マリノスで偽SBを採用した現在は、オーストラリア代表監督だった2015年アジアカップ当時に比べ攻撃の爆発力が格段に増した。攻撃面での効果が絶大であるがゆえに偽SBへの依存度が高くなった。

 しかし、この戦術を採用するにあたり設定すべき守備面の約束事については行き届いていない。依存度が高い、そして毎試合とる戦術にもかかわらず守備の整備が行き届いていないという点においてペップと一線を画す。

 また、F・マリノスは守備ブロックを敷く際、中央を警戒してSBが絞りすぎる傾向がある。今ほど顕著ではないが、オーストラリア代表監督時代のチームにも見られた傾向だ。

 7月27日にマンチェスター・シティと対戦したユーロジャパンカップでは、相手インサイドハーフに世界最高峰のプレーヤーであるデ・ブルイネが位置するため、その傾向はより如実に表れていた。

 1失点目はサイドに大きく展開され、チャンネル(相手CBとSBの間にあるスペースのことを指す。そのスペースにインサイドハーフなどが入り込んでゴールを襲う)から抜け出したデ・ブルイネに叩き込まれたものだ。シティは偽SBへの依存が強くないがゆえに、よりシンプルでリスクの小さい形でフィニッシュまで持っていくことができるのだ。

 横幅を使うシティに対して、F・マリノスは通常通り偽SBを活用した攻撃を展開。序盤こそシティのプレスに圧倒されたものの、時間が経つにつれ得意の形でチャンスに持ち込む場面が増えていった。

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【図6】横浜F・マリノス対シティ前半23分遠藤の同点弾

 同点弾はまさに偽SBが真価を発揮したゴールであった(図6)。偽SBとして内側に絞ったティーラトンが右WGのベルナルド・シウバ、右SBのウォーカー、右インサイドハーフのデ・ブルイネを引きつけることに成功。

 本来であればB・シウバは畠中を、ウォーカーは遠藤を、そしてデ・ブルイネは内側のケアをしながら扇原を見るべき局面であったが、3人全員がティーラトンに意識を向けた。その結果、畠中から扇原へのパスコースが開け、扇原から三好へのパスコースも開け、最後はウォーカーのマークが外れた遠藤が押し込んで奪う、狙い通りの得点であった。

 F・マリノスの偽SBが機能したのはこのシーンだけに留まらなかった。結果として1-3でF・マリノスの敗戦となったが、6万5000人を超える観衆が見守る中、オフシーズンとはいえプレミア王者のシティ相手にそのお株を奪うプレーを見せたのだ。

(文:とんとん)

footballcritique26

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「勝利に優る面白さなどない」と謳われてしまえばそこで話は終了する。
フットボールがここまで繁栄したのは、合法的にキメられる要素がその内容にあるからではあるまいか?
Jリーグウォッチャーであれば現在、横浜F・マリノスが快楽的なフットボールを求道しているのはお分かりであろう。では、“面白いフットボール”を披露する境地とはいったい何なのか? 選手、コーチの目線を通して“ポステコ病”の全貌に迫る。

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