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柴崎岳&長友佑都は中心選手ではなく最大の懸念。致命的な左サイドバックとプレーメイカーの層の薄さ

text by 編集部 photo by Getty Images

日本代表
日本代表の長友佑都(左)と柴崎岳(右)【写真:Getty Images】

【キルギス 0-2 日本 カタールワールドカップ・アジア2次予選 第4節】

 日本代表は14日、2022年カタールワールドカップ・アジア2次予選の第4節でキルギス代表と敵地で対戦し、2-0の勝利を収めている。これで森保ジャパンは同予選4戦4勝。グループ首位を独走する形となった。

 41分にMF南野拓実がPKを沈め、1点リードで後半を迎えることができた日本代表。53分にはMF原口元気が直接フリーキックを叩き込むなど、良い時間帯に得点を奪い2-0で勝利と、結果だけを見れば完勝だった。

 しかし、内容はお世辞にも良かったとは言えない。キルギス代表の徹底マークに苦しみ、カウンターを受けては最終ラインを深い位置まで下げられるなど、守勢に回る時間もあった。劣悪なピッチにも悪戦苦闘し、ボールコントロールやパスミスなども多発。GK権田修一のビッグセーブがなければ、2点ほど取られていてもおかしくはなかった。森保一監督の選手起用などにも疑問は残るところで、課題も多く生まれた試合であった。

 チーム全体としてはもちろんのこと、選手個人のパフォーマンスも不安の残るものとなった。中でも、MF柴崎岳とDF長友佑都の出来は物足りなさが露呈している。

 柴崎は、森保ジャパンの中で継続的に起用されている選手の一人だ。中盤底2枚の一角を務めており、主将も任されるなど、プレーメイカーとして日本代表を牽引している。ただ、ここ最近はディフェンス面でのプレーが目立つようになってきており、肝心の攻撃面では求められている役割を果たせていない。この日も前半は守備に追われ、前線に顔を出す機会は限られた。後半は前に行く姿勢を出そうとはしていたが、それがチームにとって効果があったかと言えばそうではない。所属するデポルティーボ・ラ・コルーニャでもここ最近は出番を得ることすらできていない。明らかにパフォーマンスは落ちている。

 長友は豊富な運動量を武器にサイドで上下動を繰り返したが、ボールコントロールがうまくいっていないシーンも数多く見受けられ、あまり存在感を示すことができなかった。自身が受け持つ左サイドを突破される場面も多く、後手に回っていた印象だ。

 チャンピオンズリーグ(CL)でも、レアル・マドリーのFWロドリゴ・ゴエスに無力化されてしまうなど、ベテランDFは苦境に陥っている。長友も気づけば33歳。いよいよ厳しいのか。

 柴崎と長友は現在の日本代表における絶対的存在…ではなく、最大の懸念点となってしまっている印象は否めない。そろそろ新たな選手を起用することも頭に入れなければならないだろう。

 とは言うものの、ここで新たな課題が浮き彫りとなる。代役と呼べる選手がいないのだ。柴崎のようなプレーメイカー的存在も、左サイドバックとして力を示すことができる選手も、台頭してきていない。

 DF安西幸輝は所属クラブでもコンスタントに試合に出ているが、まだ長友を脅かす存在とまでは言い切れない。DF佐々木翔も年代別代表のDF杉岡大暉もまだ物足りない。

 柴崎のようなプレーメイカータイプの選手も、なかなか今の日本にはいない。川崎フロンターレのMF大島僚太は楽しみな存在だが、怪我が多く継続して力を示すことができないのは最大の難点だ。柴崎はある意味、代えが効かないのである。

 左サイドバックとプレーメイカータイプの選手層の薄さ。ここは日本代表が抱える一つの課題と考えてもよさそうだ。今回のキルギス代表戦で、そうした部分がより明確となったのは、紛れもない事実である。

【了】

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